レビュー

エルフやトロールになって畑を耕し家畜を育てて洞窟を掘り進める「カヴェルナ:忘れられた部族」レビュー


森林を開拓して畑や牧場を作ったり、洞窟を掘り進めて部屋を作ったりしながら開拓していく箱庭系ボードゲーム「カヴェルナ:洞窟の農夫たち」の拡張版である「カヴェルナ:忘れられた部族」の日本語版がホビージャパンゲームズからリリースされていたので、実際に4人でプレイしてみました。

カヴェルナ:忘れられた部族 | | ANALOG GAME INDEX
http://hobbyjapan.games/caverna_tff/


基本セットである「カヴェルナ:洞窟の農夫たち」をどうやって遊ぶのかは下の記事で確認できます。

家族一丸となって農地や洞窟を開拓していく箱庭系ボードゲーム「カヴェルナ:洞窟の農夫たち」レビュー - GIGAZINE


「カヴェルナ:忘れられた部族」のパッケージはこんな感じ。なお、デザイナーは基本セットと同じく、人気ボードゲーム「アグリコラ」の作者であるウヴェ・ローゼンベルク氏です。


プレイ人数は1人~7人、プレイ時間はプレイ人数×30分、対象年齢は12歳以上を想定。


「カヴェルナ:忘れられた部族」は拡張セットなので、プレイするには基本セットである「カヴェルナ:洞窟の農夫たち」が必要です。


中に入っていたのはルール説明書と、パネルやトークンを収納する袋。


そして各パネルとトークンが収まった厚紙。


厚紙には切り込みがはいっているので、ハサミやカッターナイフがなくても簡単に外すことができます。


パネルやトークンをすべて取り外したところ。


「カヴェルナ:忘れられた部族」の大きな特徴は、それぞれ能力の異なる8つの種族を選んでプレイできるというところ。4人でプレイする場合は2枚ずつ部族パネルを配布し、2枚のうち好きな1枚を選びます。


また各部族には、各部族のスキルに対応した部屋パネルが用意されており……


基本セットの部屋パネルと入れ替えて配置します。


あとは基本セットと同じようにトークン、アクションパネル、アクションカードの山札、プレイヤーボードを配置すれば準備完了。ゲームの進め方も基本セットと全く同じ。


各部族に用意されているスキルにはメリットとなるものとデメリットになるものが用意されています。たとえばマウンテンドワーフの場合、「木材のコストを石材や鉱石で支払うことができる」「山地に2枚つなぎのダブルタイルをはみ出して配置できる」というスキルは非常に強力ですが、「森林にダブルタイルを置けず、シングルタイルしか置けない」という制約もあります。


「坑道工事」は洞窟部分に配置可能なダブルタイルをゲットできます。円盤のようなドワーフトークンを置いて、石材を2つゲット。


本来は枠内に収まるようにダブルタイルを配置しなければなりませんが、マウンテンドワーフのスキルで、以下のようにはみ出すように配置してもOK。さらにはみ出してタイルを置いた場合は、食料やアイテムに交換できる金を2金分ゲット。


また、木材を石材や鉱石で支払うことができるため、部屋を置くために求められるコスト管理も楽になります。


そんな感じで、どんどん洞窟を掘り進めて部屋を作ることが可能。ただし、森林にはダブルタイルを置くことができない制限があるため、プレイヤーボード左側の森林は全く開拓が進みません。


洞窟の開拓を進め、鉱床を大量に作成した上で、隣接する鉱床に応じて鉱石やルビーをゲットできる「監督のリビング」を、3方向にルビー鉱床が隣接する場所に設置します。


ルビーは食料や家畜、パネルに変換可能なリソース。洞窟を中心に掘り進めているため、農作物や家畜の確保が難しいため、ルビーを使ってやりくりする作戦に出ます。


アクションパネルも使ってルビーをどんどん掘り出し……


食料や足りない資材に変換していきます。


相変わらず森林はほぼ手つかずですが、1マスだけ作った牧場で牛のつがいを飼育。


さらに、動物が生まれる度に食料を追加できる「飼育場」を、はみ出した広場に設置。


森の中で育てた牛がラウンドの最後に子どもを1匹産むため、生まれた子牛と部屋の効果で合計4食料をゲットできることになり、さらに食糧事情は安定しました。


向かいのプレイヤーは、マウンテンドワーフと真逆で「森林にダブルタイルをはみ出して配置できるが、山地にはダブルタイルを配置できない」というスキルを持つ「人間」でプレイ。ふとパネルを見ると森林に所狭しと牧場や畑が設置され、作物と家畜をあふれるほど生産し続ける農畜業者となっていました。


基本セットでのプレイでルールはすでに把握済みなのでゲームはスムーズに進行し、新しいルールの把握を含めてもおよそ2時間30分ほどでゲーム終了。


最後に点数計算を行います。本来は、タイルやトークンを置かなかった手つかずの場所1マスにつき1点減点されてしまうのですが、マウンテンドワーフは「森林は手つかずでも減点されない」というスキルがあるため、減点はなし。マウンテンドワーフは完全に洞窟開拓だけを考えてプレイできるキャラクターというわけです。


一番点数を稼いだプレイヤーは、大量の作物と家畜を増やしまくっていた「人間」でした。


牧場には羊やイノシシが密集しており……


さらに小麦1個と野菜1個の組み合わせで勝利点2点に変換できる「貯蔵部屋」が配置されていました。


貯蔵部屋の効果によって、大量の作物がそのまま高得点源になったのが、勝利の決め手になりました。


自然の中に生きるエルフは「森林を開拓しなくても作物を植えることができるが、山地にタイルを置くためにはルビーを支払わなくてはならない」という種族。


エルフは洞窟を開拓する際にルビーをコストとして支払う必要があるため、必然的に森林を中心に発展させていくことになるわけですが、何もない森林スペース3つごとに食料が得られる「狩人小屋」の効果に釣られて森林をうまく開拓することができず、点数が伸びませんでした。なお、森林右下に畑と草原のダブルタイルが置かれていますが、そもそもエルフは森林を畑代わりに作物を植えられるほか、森林を草原にすることなく牧場を作れるので、これを取ったターンはほぼ無意味なものとなってしまいました。


次のゲームでは、トロルを選択。


好戦的なトロルは、本来鉱石をコストで支払わなくてはいけないドワーフへの武装が、木材2つで可能になるというスキルを持っています。ただし、知能が低いので武装レベルは最高でも10までしか挙がらないというデメリットも。


また、トロルは非常に食欲が旺盛。本来であればラウンドごとに1体につき2食料を支払う必要があるのですが、トロルは1体につき3食料が必要になるため、とにかく食料確保に多くのリソースを割く必要があります。ただし、高度な動物解体技術を持るトロルは、家畜を余すことなく食料に変換することができます。通常なら1食料にしか変換できない羊やロバを、トロルは2食料に変換可能。また、食料にできない犬も2食料に変換できます。そのため、大食いのトロルはゲーム中に「食料が足りないから犬を……」とつぶやきながら、頻繁に動物たちを犠牲にすることとなりました。


必然的に動物をたくさん育てることがトロルにとって食糧確保の重要な手段。そこで、動物2頭につき3金をゲットできる「骨加工所」という部屋を設置。


さらに、武装に鉱石が必要なくなったことから、鉱石がめちゃくちゃ余ってしまうことに注目し、鉱石を勝利点に変換できる「鉱石倉庫」を設置しました。


食料供給は安定し、お金と鉱石がもりもりたまっていきます。


2時間ほどでゲーム終了したトロルのプレイヤーボードはこんな感じ。食料確保と鉱石確保に必死になりすぎたあまり、森林の開拓が遅れ、8マスも手つかずの状態となってしまい、8点の減点を食らってしまいました。しかし、着実に貯蓄していたお金と鉱石がそのまま勝利点に変換されたため、減点分は十分取り返すことに成功。


一番の高得点をゲットしたプレイヤーは洞窟に住む部族の「青白きもの」でプレイ。青白きものはマウンテンドワーフとスキルはほとんど一緒ですが……


洞窟内に農作物としてきのこを栽培できるのが大きな特徴。青白きものは森林の開拓に制限がかかってしまう代わりに、洞窟内で農業ができるため、食料問題も解決されます。


「カヴェルナ:忘れられた部族」は、ゲームのルール自体は基本セットと全く変わりありません。ただし、各部族の個性あふれるスキルをふまえて「どういう方向でプレイするか」を考え、「洞窟を掘り進めてプレイしたい」「とにかくたくさん作物や家畜を育てたい」「人員をどんどん増やして探索しまくりたい」というさまざまなプレイスタイルを選択する必要があります。基本ルールではチェックするべき場所や考えることが非常に多かったのですが、「カヴェルナ:忘れられた部族」では各部族のスキルによってプレイスタイルが絞られ、慣れていない人でも遊びやすくなった印象。

今回はプレイヤーが部族を選択した後、部族パネルや対応する部屋パネルを回し合って、自分以外の部族がどういうスキルを持っているのかをチェックしたことで、スムーズにプレイすることができました。そのため、各部族がどういうスキルを持っているのかは事前にしっかり把握しておくべきといえます。


「カヴェルナ:忘れられた部族」はAmazon.co.jpで、税込2500円で購入可能です。

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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