97%の人は壁にぶつかっても以前と同じことを繰り返す、並外れた解決法を導き出す3%になるためには?
多数決の原理をもつ民主主義社会においては、多数派の意見が通りやすいものですが、多数派の意見が常に正解であるとは限りません。キヤノンやUberなど名だたる企業でビジネスコンサルタントを務めたポール・ルルケンス氏が「なぜ多数派はいつも誤ってしまうのか」について講演するムービーが公開されています。
Why the majority is always wrong | Paul Rulkens | TEDxMaastricht - YouTube
人やチーム、組織は壁にぶつかると、「同じことを何度も行う」か「同じことを行う頻度を少なくする」かのどちらかを行う傾向があります。しかし、データによれば全体のおよそ3%は「まったく別のことを始める」そうです。つまり、3%は完全に方向転換をするも、残り97%は結局以前と同じことを繰り返し行い続けてしまうというわけです。
ルルケンス氏は「なぜほとんどの人は同じ事を繰り返してしまうのか」を理解するためには、「人は何のために思考するのか?」という問いを考える必要があると述べており、脳科学者であれば「思考の目的とは『思考をやめること』」と答えるだろうとしています。
思考とはエネルギー消費の多い活動です。そのため、人は常に思考を短くしようとする傾向があり、あとは脳による自動操縦に切り替えるとのこと。例えば、車を運転している時「30分前に何を考えてどういう行動を取ったのか」はなかなか覚えていないように、人は人生の95%以上を脳による自動操縦で行動しているとルルケンス氏は述べ、脳の自動操縦による行動は、心理的な視野の狭さにつながると主張しました。
この心理的な視野の狭さとは、技術的限界、物理的限界、道徳的限界などであり、人はさまざまな限界の中で思考します。「これはいわば大きな箱の中で物事を考えるようなもの」とルルケンス氏は例えました。例えば、外食産業の人の場合、「客がレストランにやってきて、料理を食べて、代金を支払う」という業界標準の箱の中でビジネスを考えます。また、銀行に勤めている人の場合は「お金を人に渡してもらったら『ありがとうございます』と言い、そのお金をまた別の人に渡す」という箱の中でビジネスを考えます。この箱こそが業界の標準であり、専門分野の規範と呼べるものだ、とルルケンス氏は述べています。
しかし、ルルケンス氏は「標準」というのは「普通」という意味を持つ言葉でもあると述べ、「標準の箱の中で考える以上、出てくる結果は常に普通の結果です」と主張。もし並外れた結果を出したい場合は、自分の思考を箱から出す必要があると論じています。
例えば、ロンドンでタクシーの運転手になりたい場合は、ロンドンすべての道という「知識」を暗記する必要があります。ロンドンの道を全部覚えるには何年もかかりますが、タクシー事業をロンドンで急速に拡大したい場合、時間が足りなくなってしまいます。
そこで、ロンドンのあるタクシー業者は2種類のタクシーを用意しました。1つは普通のタクシーですが、もう1方は「このタクシーの運転手はロンドンの道を全く知らないので、あなたの道案内を必要としています」と書いた看板が車に貼り付けられました。ロンドンの住民は知識のない運転手よりも道をよく知っているため、この「道を全く知らないタクシー」は運転手に対して上から目線で道を教えたがる人に人気が出たとのこと。このタクシー業者の解決策は非常に素晴らしい者だとルルケンス氏は評価しています。
IKEAが「顧客のために家具を組み立てない家具業者」、Dellが「物理的な店舗を使わずにコンピューターを販売するコンピューターブランド」になったように、「人は業界の標準や規範を破ることで並外れた結果を生み、イノベーションを実現してきました」とルルケンス氏。
ルルケンス氏は、「多数派が間違っていることを理解することで、固定観念を捨てて、大規模なイノベーションを実現する機会が得られる」と主張。ローマ皇帝のマルクス・アウレリウス・アントニヌスが「人生の目的は多数派の味方をすることではない。しかし、人生の目的はどうみても正気ではない者の仲間入りから逃れることだ」と語ったことに対して、ルルケンス氏は「他人と同じことをやっているだけだと、自分のやっていることがわからなくなり、行き詰まってしまうでしょう」と解釈しています。
ルルケンス氏は「97%の人は標準や規範の箱の中で物事を考えてしまうため、正しい解決法を導き出すことができません。並外れた解決法を導き出すためには、業界標準を破り、規範を破ることを決意する必要があります。もちろん、97%に属して、3%のために働くのもありです。その選択は完全にあなたに委ねられています」と述べました。
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