サイエンス

最も効率的に学習できる問題の難度は「正答率85%レベル」であることが判明

by Liam Anderson

何か新しい物事を学習する時、人やコンピューターはさまざまな練習問題を繰り返し解き、時には間違うことを通じて学習を深めていきます。「機械学習アルゴリズムを用いた実験により、学習に最適な問題の難度は正答率85%程度であると判明した」という研究結果を、アメリカの研究チームが発表しました。

The Eighty Five Percent Rule for optimal learning | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-019-12552-4

Learning is Optimized When We Fail 15% of the Time | UANews
https://uanews.arizona.edu/story/learning-optimized-when-we-fail-15-time

Failing 15% of The Time Is The Best Way to Learn, if AI Is Anything to Go By
https://www.sciencealert.com/you-should-be-failing-15-percent-of-the-time-if-you-actually-want-to-learn-anything


物事を学ぶ上で解く問題は、あまりにも難しすぎると効率的な学習につながりませんが、逆に簡単すぎて正答率100%であっても学習には不向きです。一体どれほどの難易度が効率的な学習に最適なのかについては不明でしたが、教育学者らは「どこかに学習効率を最適化する『スイートスポット』のようなものがあるはずだ」と考えてきました。

アリゾナ大学の心理学准教授であるロバート・ウィルソン氏らの研究チームは、手書きの数字を「数字の大小」や「奇数あるいは偶数」といった要素で分類するといった、単純なタスクをコンピューターに教える一連の機械学習実験を行いました。

条件をさまざまに変更してコンピューターの成長速度を分析したところ、コンピューターが「15%の頻度で間違える、つまり85%の精度で正解できる問題」を解いた時に、最も効率よく学習していることがわかりました。この数値は、動物を用いて行われた過去の研究とも一致するとのこと。

by picjumbo_com

研究チームは、「理論的には正答率85%という最適な難度でのトレーニングが、学習効率の改善につながることが示されています」と述べています。今回判明した最適な問題の難易度は、経験が重要となる人間の知覚学習においても適用される可能性が高いとウィルソン氏は考えています。

たとえば放射線科医が画像の中から腫瘍を見分けるような訓練では、簡単すぎる問題や難しすぎる問題よりも、正答率が85%程度の問題を繰り返し解くことで、学習効率が最大化される可能性があります。もちろん、対象となる人物やコンピューターが学習を続けるにつれ、同じ問題であっても正答率が向上すると考えられるため、問題の難易度も頻繁に調整される必要があるとのことです。

実際に今回の研究結果が人間にも適用できることを確かめるには、さらなる研究が必要とみられています。しかし、研究の出発点として今回の「正答率85%」という難度はバランスがよく、教育学者らにとって有益な実験結果となり得ます。ウィルソン氏は、「あなたがあまりにも簡単すぎるクラスで学習している場合、適度な難しさで苦労しつつ学習している人に追いつけないでしょう。今回の研究を拡大し、より複雑な形態の学習についても議論が開始されることを望みます」と述べました。

by klimkin

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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