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東京の家事情が「狭すぎる」「2万5400世帯が難民キャンプと同じスペースで生活している」と海外メディアに報じられる


2020年4月7日(火)、安倍晋三総理大臣が新型コロナウイルスの感染拡大に伴い緊急事態宣言を発令し、人と人との接触を最低7割、極力8割削減することを求めました。日本の緊急事態宣言は他国で実施されている厳格な都市封鎖には及ばないものの、東京都の小池百合子都知事は事業者に休業協力要請する予定と報じられています。日本で最も感染者数の多い東京では特に社会的距離を保つことが求められているわけですが、海外メディアのロイター通信は「自宅待機が求められる東京の住宅は西洋基準でいくと非常に窮屈」と報じています。

Sheltering in small places
https://graphics.reuters.com/HEALTH-CORONAVIRUS/TOKYO-HOMES/dgkvlabxpbx/index.html

ロイター通信によると、1住宅当たりの平均延べ床面積はイギリスの首都ロンドンでは80平方メートル(2015年時点の平均値)、東京では65.9平方メートル(2018年時点の平均値)、香港では40平方メートル(2016年時点の中央値)です。なお、国土交通省が公開している平成30年度(2018年)住宅経済関連データでは、東京都の1住宅当たりの平均延べ床面積は64.48平方メートルとされています。


しかし、これは東京都内の平均の数値であり、アパートなどではより狭くなる傾向があるとロイター通信は指摘。東京についてロイター通信は、「他の多くの都市と同様に、広大な高層住宅街の中に狭いアパートがたくさん存在します。東京の中心部より西側はより緑の豊かな地域で、戸建てが多く、芝生のある家もあります。しかし、こういった住宅の多くがアパートの隣に建っています。そして、東京都在住の約4人に1人がアパートで1人暮らしをしています」と説明しています。

ロイター通信が「東京の1住宅当たりの平均延べ床面積は65.9平方メートル」としたのは、2018年に実施された政府最新の「住宅と土地に関する調査データ」を基にしているそうです。なお、この調査は東京都の680万世帯の住宅面積を調査したものとのこと。

なお、この「65.9平方メートル」という数字の内、約41平方メートル部分にベッドルームやリビングルーム、キッチンなどの「居住スペース」が収まることとなるそうです。玄関やトイレ、お風呂といったものはこの「居住スペース」に含まれません。


ロイター通信は「これは信じられないほど狭く感じるかもしれませんが、香港などの人口密度の高い他の都市と比較すると、東京の住宅は広い方です」としています。

ただし、「居住スペース」が「19.7平方メートル」以下となる住宅で暮らす世帯は、東京では140万世帯、日本全国では570万世帯にもおよぶとロイター通信は指摘しています。これらの狭い住宅は、「畳の古い木造アパート」や「狭いキッチンとユニットバスを備えた新しいアパート」などで、「布団を折りたたんで午前中に片付けるという日本で最も伝統的な省スペース方法の1つを採用して暮らしているのでしょう」とロイター通信は伝えています。


さらに、東京都で暮らす7万5900世帯に至っては「居住スペース」が9.8平方メートル以下になると指摘。


加えて、東京都の1世帯当たりの平均人数が「2.3人」であることから、「居住スペース」が約41平方メートルの平均的な住宅の場合、1人当たりの居住スペースは20.2平方メートルになると指摘。これと同じように1人当たりの居住スペースを計算していくと、東京では130万世帯(約260万人)が1人当たりの居住スペースを11.4平方メートルしか確保できておらず、2万5400世帯(約3万人)に至っては1人当たりの居住スペースが4.8平方メートルしかないとしています。なお、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が難民キャンプの居住空間ガイドラインで設定している1人当たりの居住スペースが「4.5~5.5平方メートル」であることから、東京では多くの人々が難民キャンプと同じ面積で暮らしているとロイター通信は指摘しました。


ロイター通信は「2015年の東京都全体の人口密度は1平方km当たり6168.7人と、日本の都道府県全体で最も高かったです。これは全国平均の18倍以上ですが、香港の平均である『6940人』よりも少ないです」と記しています。なお、2020年4月1日時点での東京都の1平方km当たりの人口密度は6354.79人です。

さらに、ロイター通信は非常事態宣言の中で自宅待機を求められる東京都民の声をいくつか紹介しています。


例えば東京都在住の20平方メートルほどの狭いアパートで暮らす83歳男性は、「現時点ではかなり厳しい状況で、行ける場所もあまりありません。これまでは喫茶店やパチンコ店に行っていました」「私は知人に会おうと、できる限りアパートから出ようとしています。家にいる際はいつも読書しています。以前はゴルフをしていたのですが、一緒に遊んでいた人の多くが亡くなってしまったので今はやっていません」と語ったそうです。

さらに、中野区にある35平方メートルのアパートで妻と2歳の息子と一緒に暮らしながらUber Eatsの配達員として働く44歳男性は、カレー屋でのアルバイトやコメディアンとしての仕事は完全に休業状態に入ったとのこと。さらに、「私は家族を養わなければならないので、家で多くの時間を過ごすことはありません」「日本の小さな家で暮らす人々は、大きな家で暮らす人たちよりもストレスを感じるようになるでしょう。新型コロナウイルスが原因で離婚する人が増えているとも聞いています」と語っています。

その他、中野区にある33平方メートルのアパートで彼氏と2人暮らしをしているという28歳の女性は、「私は昨日から自宅で仕事を始めていますが、それまではいつもの通りオフィスへ通勤していたので、リモートワークが上手くできるかはまだわかりません。最近はNintendo Switchのボクシングゲームを購入したので、家での時間が増えるこれからプレイしてみようと思います。また、家では読書や料理をしながら、LINEやZoomで友だちと連絡を取り合っています」と語りました。

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in メモ, Posted by logu_ii

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