60年前のHP製「原子時計」はこんな感じ、実際に動作する様子もムービーで公開中
原子や分子のスペクトル線を利用して正確な時間を刻む原子時計は、「秒」の定義にも用いられる非常に精度の高い時計です。そんな原子時計を実際に動作させる様子をビンテージコンピューターのレストアなどを行っているCuriousMarc氏がYouTubeに公開しています。
HP 5061A Cesium Clock - YouTube
自動車に積まれている荷物は……
1960年代にHPが開発した原子時計「5061A」
当時、世界中の研究所の時刻を合わせるために使用されていました。
また、アインシュタインは相対性理論の中で、速度差や重力差が「時間の遅れ」を生じさせると予言しましたが……
その予言の検証にも使われた原子時計です。
5061Aは真空チューブを用いた「原子ビーム式」の原子時計です。
使用される原子はセシウムで唯一放射能を持たない安定同位体である「セシウム133」
沸点が28℃と低いのが特徴です。
セシウム原子を熱して原子ビームを作り、その周波数を測定することで時間を刻む仕組み。
CuriousMarc氏はさっそく5061Aに電源プラグを挿入。
機器を前側のパネルで調整し、原子ビームを発生させます。
5061Aの仕様では5MHzの原子ビームが作られるはずですが、測定すると5MHzよりも低い値に。CuriousMarc氏は「まだセシウムを完全に熱することができていないためだろう」と発言しています。
しばらく待ってから再び機器を調整すると……
緑色のランプが点灯。原子時計側で原子時間のロックに成功しました。
周波数もきっちり5MHzに到達。
CuriousMarc氏は原子時計に誤差がないか確認するため、eBayで購入したGPS同期型周波数発振器と周波数の精度を比較してみることに。
オシロスコープに原子時計とGPS同期型周波数発振器の波形を表示して……
リサジュー図形を表示。リサジュー図形は静止しているので位相差は変化しておらず、原子時計の周波数はGPS同期型周波数発振器の周波数に対して誤差がないことがわかりました。
HP製のユニバーサルカウンタである「5334B」もGPS同期型周波数発振器と同じように原子時計と比較してみると、リサジュー図形が激しく回転。5334Bの周波数に誤差が生じているようです。
5334Bをリサジュー図形が静止するように調整して、誤差を修正。CuriousMarc氏は原子時計のおかげで「完全に狂った安物の時計を調整することができた」と話しています。
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