サイエンス

原子を使って時間を刻む「原子腕時計」を自作した方法とは?


原子時計とは、原子や分子が固有の周波数の電波や光を吸収・放射する性質を応用して、最も正確な時間を刻む時計です。アメリカ・ワシントン州に住むソフトウェア開発者のトム・ファン・バーク氏は、そんな原子時計を持ち運べるようにした「世界初の原子腕時計」を生み出した人物です。

First Atomic Clock Wristwatch
http://leapsecond.com/pages/atomic-bill/

原子時計によって作られた正確な時刻は標準電波として送信され、国家の標準時となっているほか、国際単位系(SI)の「1秒」もセシウム原子時計によって定義されています。

原子時計の使い道は、単に時間の長さを計測するだけではありません。「重力の大きい場所では時間がゆっくり流れ、逆に重力が小さい場所では速く流れる」という重力による時間のズレを利用し、標高差がある2地点にそれぞれ原子時計を設置することで、計測された時間のズレを基に2地点の標高差を測定する実験も行われています

数学や物理学、デジタル電子機器などに興味を持つバーク氏は「正確な時間の愛好家」であり、自宅に政府機関レベルで正確な時間を計測する時計を設置したり、原子時計を使って重力による時間のズレを観測しようとしたりといった実験を行う人物です。そんなバーク氏はある日、「原子時計を腕時計にすることはできないか」と考え、実行に移したとのこと。

バーク氏は義理の兄弟であるビル氏に頼み、ナイロンバンドで箱形のセシウム原子時計「5071A」を腕に装着するという荒技で「原子腕時計」を実現しました。以下の写真が、セシウム原子時計を腕に装着したビル氏です。


2本のナイロンバンドで装着されたセシウム原子時計は……


LEDのディスプレイでこの上なく正確な時間を確認することが可能。なお、バッテリーも含まれているため、実際に腕時計として装着したまま持ち運ぶことが可能です。しかし、バッテリーはわずか45分間しか持続せず、重量も30kgほどあるため、よほどの力持ちでないと装着したまま移動するのは困難な腕時計となっています。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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