サイエンス

兄のいる男性は同性愛者である確率が38%も高いという研究結果


近年は同性愛者や両性愛者トランスジェンダーなどの多様な性的指向が社会で広く許容されるようになり、「どういった要因が人の性的指向に影響を与えるのか」に関する研究も盛んになっています。シャリテー大学医学部病院連合ベルリン性科学・性医学研究所の研究チームは、「兄のいる男性は同性愛者である確率が38%も高い」という研究結果を発表しました。

A method yielding comparable estimates of the fraternal birth order and female fecundity effects in male homosexuality | Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences
https://royalsocietypublishing.org/doi/full/10.1098/rspb.2019.2907

Men with older brothers are more likely to be gay, study suggests
https://www.nbcnews.com/feature/nbc-out/men-older-brothers-are-more-likely-be-gay-study-suggests-n1165201

Study suggests males with older brother more likely to be gay
https://phys.org/news/2020-03-males-older-brother-gay.html

研究チームは、すでに発表されている性的指向に関する研究10件の調査データから、男性5390人分の「性的指向」「兄弟の有無」のデータを収集し、メタアナリシスを使って分析を行いました。分析の結果、兄のいない男性に比べて、兄のいる男性は同性愛者である確率が38%も高かったとのこと。この傾向は兄が多いほど強く、3人の兄がいる男性は兄がいない男性と比較して、同性愛者である確率が2倍も高かったそうです。一方で、弟がいくら増えようとも同性愛者である確率は不変でした。


一方、本研究の筆頭著者であるレイ・ブランチャード氏によると、「姉という存在は、妹・弟の性的傾向に影響を与えないことが以前の研究によって示されている」とのことで、「姉のいる女性」の性的指向についての分析は行われませんでした。また、分析によると、同性愛者の男児を複数回出産した母親は多産であるという傾向が存在するそうです。

以上の結果から、研究チームは「Maternal immune hypothesis(母性免疫仮説)」と呼ばれる、「最初の男児の妊娠時に、男児に特有のタンパク質で母体の免疫反応が変化する。一部の母親はその後に男児を妊娠した際、胎児の脳内で性分化が進むタイミングで男性特異的な抗原を産生し、胎児の性的指向に影響を与える」という仮説について言及。この仮説が、兄のいる男性が同性愛者になる確率が高いことを説明していると主張しています。


ブランチャード氏は「男子特有のタンパク質が、次の男子の性的指向に影響を与える免疫応答を形成するという仮説は妥当に思えます。しかし、さらなる研究が必要です」とコメントしました。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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