生き物

イッカクの牙は大きいほど性的魅力があることを生物の「性淘汰」に取りつかれた研究者が明らかに

by Dave & Tina

クジャクの羽やヘラジカの牙など、動物の雄は異性を巡る競争においてしばしば自らの体の一部を使っており、その結果として発生する生物学的な進化のことを「性淘汰」と呼びます。アリゾナ州立大学で生物学を研究するザカリー・グラハム氏らの研究チームは新たに、イッカクの牙もまた性淘汰の結果として発達したことを発表しました。

The longer the better: evidence that narwhal tusks are sexually selected | Biology Letters
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2019.0950

For narwhals, the 'unicorn of the seas,' size matters for sexual selection
https://phys.org/news/2020-03-narwhals-unicorn-seas-size-sexual.html


性淘汰は性選択とも呼ばれ、異性にとって魅力的であるために進化した形質の淘汰の現象をいいます。

グラハム氏は博士号論文で研究対象としたザリガニをはじめ、さまざまな生き物の性淘汰について研究を行っている人物。「私は、生物学の中で最もクレイジーな特性を作り出す、性淘汰というものに興味があるんです。なぜある種の生き物はこのような奇妙な特性を作り出すのかや、全くそのような特性がない生き物がいるのかを、私は進化生物学者として理解しようとしています」「このような特性を理解するために私たちは形態学や、動物たちの大きさ・形などに着目しています。研究を始めるとすぐに私はさまざまな生き物に取りつかれ、あらゆる動物をGoogle検索したり、博物館で恐竜を見たりして、最終的にイッカクの牙を見つけました」とグラハム氏は語っています。

グラハム氏によると、性淘汰の対象となる特性は、個体の体の大きさに比べて極端に成長率が高いことが多いとのこと。そこで、イッカクの牙が性淘汰と関係していることを示すため、グラハム氏はまずイッカクの体長と牙の大きさの関係について調べました。なお、この調査では、過去35年にわたって報告されたオスで成獣のイッカク245頭が対象となりました。

このとき、研究者らはイッカクの牙の成長と体の成長の関係を調べるとともに、性淘汰には関係ないと考えられる「尻尾」の成長と体の成長の関係も調べ、両者を比較しました。この2つを比較することで、牙が異性をめぐる競争に用いられているのかどうかが示されるというわけです。

by John Rohan

調査の結果、イッカクの体長に対する牙の長さは個体によって4倍もの差があり、同じ体長のオスでも牙の長さは45センチから250センチまで大きな幅があったそうです。一方で尻尾の長さは45センチから90センチとほとんど差がありませんでした。また成長度合についても、尻尾に比べて牙は大きかったとのこと。「体長に対する牙のサイズに大きな個体差があること」「尻尾に比べて牙の成長率が不釣り合いなほどに大きいこと」の2点から、グラハム氏ら研究チームは牙が異性を巡る競争に用いられていると結論付けています。

「牙の大きさに関する我々の研究結果を、ほかの動物の牙に関する研究結果と比較すると、イッカクの牙は雄同士の競争において性淘汰のシグナルになっていると考えられます。牙でのコミュニケーションで交わされる情報はシンプルで、『私はあなたより大きい』ということです」とグラハム氏は語りました。

イッカクは水面下で行動するため、その生態の多くが謎に満ちています。しかしこれまでの調査結果から、頭部にケガを負ったイッカクや牙の折れたイッカクなどが報告されており、牙が攻撃の道具として使われていると推測されています。グラハム氏は、今後の研究で水中ドローンなどを用いることにより、牙が性的魅力のシグナルとして使われているのか、雄同士の戦いで使われているのか、それともその両方なのかが明らかになることを期待しています。

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in 生き物, Posted by logq_fa

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