「Uberのドライバーは個人事業主ではなくUberの従業員」とフランスの最高裁が判断
配車・宅配サービスの「Uber」は、一般的なタクシーや運送会社とは異なり、Uberの“パートナー”であるドライバーが自分の空き時間と車・バイク・自転車を使ってサービスを提供するという形態を取っています。この“パートナー”関係について、フランスの司法最高裁判所にあたる破毀院が、「ドライバーは個人事業主ではなく、Uberの従業員である」という判断を下しました。
UBER Wednesday, 4 March 2020
(PDFファイル)https://www.courdecassation.fr/IMG/20200304_arret_uber_communique_eng.pdf
Top French court deals blow to Uber by giving driver 'employee' status - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-uber-court/top-french-court-deals-blow-to-uber-by-giving-driver-employee-status-idUSKBN20R23F
話は、Uberによってアカウントを停止された元ドライバーが、2017年6月にUberを相手取って裁判を起こしたところから始まります。フランスでは、労働契約に関する個別的紛争事件は労働裁判所が担当するのですが、労働裁判所は「Uberとドライバーは雇用関係にはない」として、この訴訟を受け付けませんでした。
代わりに、雇用関係の問題として裁判を扱った商事裁判所は「仕事を行う組織を自分でコントロールできる」「自由に価格やサービスの提供条件を決定することができる」といった、個人事業主であれば可能なことを、Uberのドライバーは認められていなかったと指摘。ドライバーはUberと従属関係にあったと認定して、「Uberのドライバーは従業員である」と判断を下しました。
しかしUberはこれを認めず、決定は最高裁にあたる破毀院に持ち込まれることになりました。その結果、破毀院は商事裁判所の判断を支持しました。これにより、元ドライバーが金銭補償を求めてUberを相手取った裁判は、改めて労働裁判所で争われることになります。
なお、「ネットで単発の仕事を請け負う」形態を従業員ではなく個人事業主であると扱うことに対しては、フランス以外でも厳しい目が向けられており、カリフォルニア州では2019年にこの種のビジネスを規制する法案が可決され、2020年に施行されています。ただ、事業者からは反発の声が大きく、多数の異議が提出されているとのことです。
Uberなどの「インターネットで仕事を請け負うビジネス」を規制する法案が可決 - GIGAZINE
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