「地球平面説を証明する」として自家製ロケットに搭乗した男性がロケットの墜落事故で死亡
多くの人にとって「地球は丸い」ことは常識として捉えられていますが、中には地球は球形ではなく平面であるという地球平面説を支持する人もいます。「マッド」の愛称で知られるアメリカ在住のマイク・ヒューズ氏は、「地球が平面であることを証明するために自作のロケットを打ち上げる」という活動で知られる人物でしたが、2020年2月22日に搭乗した自作ロケットが墜落し、亡くなったと報じられています。64歳でした。
Daredevil 'Mad' Mike Hughes Dead at 64 After Rocket Crash Landing
https://www.tmz.com/2020/02/22/daredevil-mad-mike-hughes-dead-dies-rocket-crash-land/
Flat Earther Daredevil Dies in DIY Rocket Crash - VICE
https://www.vice.com/en_us/article/jgevp4/flat-earther-daredevil-mad-mike-hughes-dies-in-diy-rocket-crash
Daredevil Flat-Earther "Mad" Mike Hughes Dies After Homemade Rocket Launch
https://www.buzzfeednews.com/article/otilliasteadman/mad-mike-hughes-rocket-death-flat-earth
Infamous Daredevil 'Mad' Mike Hughes Has Died in Homemade Rocket Crash in California
https://www.sciencealert.com/infamous-flat-earth-daredevil-dies-in-crash-in-california
ヒューズ氏は「地球は平らである」ことを証明するためにクラウドファウンディングで地球平面論者からの出資を募り、自作ロケットを開発していたアマチュア宇宙飛行士です。2017年には当局からの許可が下りずに打ち上げを断念しましたが、2018年にはロケットの打ち上げ角度を修正し、再度打ち上げを行いました。
「地球は平ら」を証明するロケット打ち上げが未遂に終わった男が新たに改良型ロケットでの再挑戦を発表 - GIGAZINE
2018年の打ち上げ時の様子については、以下のニュース映像で確認することができます。
Man Out to Prove the World Is Flat Crashes Homemade Rocket - YouTube
荒野に設置された発射台から、勢いよく蒸気を噴射して発射されるロケット。ヒューズ氏のロケットは水を高温高圧の状態でタンクに入れておき、バルブを開いた際に勢いよく飛び出す蒸気の力で空高く打ち上げる「蒸気ロケット(steam-powered rocket)」というタイプのロケットだそうで、SpaceXなどが打ち上げるロケットとは違った方法を採用しています。
ロケットはぐんぐん高度を上げていきます。
撮影者も思わず「ちくしょう!やりやがった!」と歓声を上げました。
2018年の打ち上げでは1875フィート(約571メートル)の高さまでロケットが飛んだそうで、最高速度は時速350マイル(時速約563キロメートル)を記録したとのこと。
最高地点に到達した後、無事にパラシュートが開き……
ゆっくりとしたスピードで落下。
2つ目のパラシュートも無事に開き、地面に着陸しました。
救護班によって抱えられたヒューズ氏は、少し背中を痛めたとのことですが、元気そうに受け答えをしています。
ヒューズ氏自身も、自作ロケットに搭乗するというパフォーマンスが危険であることは理解していたそうで、2018年のインタビューでは「私がロケットへの階段を上っている時、『私は自分がぶら下がる絞首台に向かって歩いているのか?』という考えがよぎります」と述べています。しかしヒューズ氏は、「私は本物の男です」「私はロシアンルーレットをプレイしています」と話しており、向こう見ずな挑戦にスリルを感じていたこともうかがえます。
そして、2018年の打ち上げから約2年が経過した2020年2月22日、ヒューズ氏はカリフォルニア州ロサンゼルスの北東110マイル(約180キロメートル)に位置するバーストーで、再び自作ロケットの発射実験を実施しました。
実際にヒューズ氏が搭乗したロケットが発射され、地面に墜落するまでを撮影したムービーが以下。ショッキングな映像となっているため、視聴は自己責任でお願いします。
Mad Mike Hughes just launched himself in a self-made steam-powered rocket and crash landed. Very likely did not survive. #MadMike #MadMikeHughes pic.twitter.com/svtviTEi8f
— Justin Chapman (@justindchapman) February 22, 2020
荒野に設置された発射台から……
勢いよく蒸気を噴出しながらロケットが発射されました。事前のインタビューでは、「最高時速は425マイル(時速約683キロメートル)になると思います」とヒューズ氏は語っていたとのこと。
しかし、途中でロケットから布のようなものが落ちたことがわかります。どうやら、本来であれば降下中に開くはずだったパラシュートが、発射時の衝撃で外れてしまった模様。
パラシュートを失いつつも、ロケットは上昇を続け……
やがて落下。
ロケットの落下地点から土煙が立ち上り、誰もが呆然としている様子がうかがえます。今回の打ち上げは、サイエンスチャンネルで放送される「Homemade Astronauts(自家製宇宙飛行士)」という番組の中で取り上げられる予定だったそうです。
サイエンスチャンネルはヒューズ氏の死を報じ、「マイケル・"マッド・マイク"ヒューズ氏は、自作ロケットを打ち上げようという試みの最中に悲劇的な死を迎えました。この困難な時期に、彼の家族と友人に私たちは思いと祈りをささげます。この打ち上げを行うことは常に彼の夢でした。サイエンスチャンネルは彼の旅を記録するため、その場に居合わせました」とコメントを出しています。
Michael 'Mad Mike' Hughes tragically passed away today during an attempt to launch his homemade rocket. Our thoughts & prayers go out to his family & friends during this difficult time. It was always his dream to do this launch & Science Channel was there to chronicle his journey pic.twitter.com/GxwjpVf2md
— Science Channel (@ScienceChannel) February 23, 2020
なお、ヒューズ氏の広報担当者であったダレン・シュスター氏は、実際にヒューズ氏が地球平面説を信じていたわけではないとコメントを寄せています。「彼は確かにいくつかの陰謀説を信じていました。しかし、地球平面説を信じていたとまでは考えないで下さい。これは私たちが考えたPRスタントでした」「地球平面説によって私たちは非常に多くの宣伝ができたため、前に進むことができました。ヒューズ氏が地球平面説を信じていなかったのは確かです」と、シュスター氏は述べたとのことです。
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