ジャンクフードのような「高脂質・高糖質の食事」は脳の機能を低下させる可能性
高脂質・高糖質の食事は脳の一部の機能を低下させる可能性があると、最新の研究が指摘しています。研究によると、高脂質・高糖質の食事を1週間続けるだけで、脳の機能は影響を受けるようです。
Hippocampal-dependent appetitive control is impaired by experimental exposure to a Western-style diet
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.191338
Researchers find a western-style diet can impair brain function | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2020/feb/19/researchers-find-a-western-style-diet-can-impair-brain-function
過去に行われてきた複数の研究により、海馬の機能がジャンクフードに非常に敏感であることが明らかになっています。また、2017年に行われた「若い健康な被験者を対象とした」研究により、トーストしたサンドイッチとミルクセーキという高脂質・高糖質の西洋風の朝食を1週間続けると、学習能力と記憶力テストの成績が低下することが示されていました。
これらの研究に続く形で、高脂質・高糖質の食事が人間にどのような影響を及ぼすかを調べた研究論文が、現存する最古の科学学会である王立協会で発表されました。論文によると、ジャンクフードのような高脂質・高糖質の食事は、脳の食欲制御機能を低下させる可能性があるそうです。
研究論文を発表したオーストラリアの研究チームは、被験者を募り、ワッフルやミルクセーキなどの高脂質・高糖質の食事を1週間続けてもらい、その後、被験者の記憶力テストを行うという調査を行いました。調査では100人以上の「若くて痩せた健康な被験者」に対してランダムに、通常の食生活を続けてもらうか、高脂質・高糖質の食事を行ってもらうかをしました。すべての被験者は調査期間の最初の日と最後の日に、トーストしたサンドイッチとミルクセーキを食べてもらい、その他の期間は「通常の食生活を行うグループ」は週に最低2回、「高脂質・高糖質の食事を行うグループ」には週に最低4回ジャンクフード(2枚のベルギーワッフル)を食べてもらったそうです。
加えて、被験者は毎朝の朝食の前後に自身の食欲に関するテストも受けています。テストというのは、6つの食べ物を提示し、各食べ物を「どの程度食べたいと感じたか?」を主観で評価するというもの。さらに、テスト後には実際に提示した食べ物を食べてもらい、それがどの程度好きで、さらにどの程度食べられるかも評価してもらいました。
調査の結果、高脂質・高糖質の食事を続けた被験者は、記憶力テストにおいて有意に悪い成績を収めています。これは過去の調査結果と一致するものです。また朝食の前後で行われた食欲調査の結果、「高脂質・高糖質の食事を続けた被験者グループは、満腹であっても『さらにジャンクフードを食べたい』という強い欲求を覚えている」ことが判明しました。
脳の海馬は満腹になると食べ物の記憶を静めることで、食欲を低下させると考えられています。しかし、高脂質・高糖質の食事を続けると、この食欲を抑える海馬の機能が著しく損なわれるのではないかと研究チームは指摘しています。
研究チームは「今回の調査対象は新興分野であり、これらのプロセスがどのような相互関係にあるかについてはまだ多くのことを学ぶ必要があるため、我々の結論はもちろん暫定的なものです」と述べました。
高脂質・高糖質の食事の影響については、限られたサンプルサイズであると前置きしつつ、研究チームは「人間の記憶力を低下させること」と「海馬の食欲制御機能が低下すること」には強い相関が見られるとしています。さらに、研究チームは「今回の実験は、過去の実験結果と同じく、西洋式の(高脂質・高糖質な)食事が短期暴露後に神経認知障害を引き起こすことを示唆している」とも述べています。
なお、実験を行ってから3週間が経過したのち、同じテストを行ったところ、実験時の「通常の食生活を行うグループ」と「高脂質・高糖質の食事を行うグループ」には違いがみられなかったそうです。これは海馬の食欲を制御する機能が低下したのは一時的なものであることを示しています。
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