右も左も分からない初心者をバカにするネットスラング「noob」はどのように使われてきたのか？

ハッカーの俗語をまとめたジャーゴンファイルには、「Usenetで『初心者』を意味するスラングで、イギリスの公立学校や軍で使われる『new boy』から派生している」と書かれています。Dykerさんは「newbie」という言葉を単に「初心者」という本来の意味で使っていましたが、ジャーゴンファイルでは「何もわかっていないUsenetユーザーをひどく侮辱する言葉」と説明されています。

そして「newbie」は、インターネットが普及しはじめた1990年代のハッカー文化の中で「noob」に変化します。当時、悪口や罵倒はオンラインフォーラムから削除される傾向にあったため、インターネットユーザーは「newbie」を「noob」や「n00b」と言い換えて使うようになったそうです。このように、スペルを改変したり、文字を別の文字や記号に置き換えたりする表記方法はLeetと呼ばれ、2000年代にはハッカーだけではなくインターネット全体で広く使われるようになりました。

特に「noob」などのLeetを急速に受け入れたのがオンラインゲームのプレイヤーでした。ネットスラングを多く収録するオンライン辞書であるUrban Dictionaryの「noob」の項には、一般プレイヤーの忠告を無視しては何度も最前線に突っ込んでやられてしまう初心者の会話が例示されています。また、2007年にリリースされたファーストパーソン・シューティングゲーム「Call of Duty 4: Modern Warfare」では、正確に照準を合わせずにぶっ放すだけで敵に大ダメージを与えられるグレネードランチャーが「noob tube」と呼ばれていたそうです。

by zmtomako

なお、初心者を揶揄するために使われてきた「noob」の意味は2010年以降になってさらに変化。ニューサウスウェールズ大学の言語学者であるミシェル・ザッパヴィーナ氏は「『noob』という言葉はTwitter上では本来の辛らつさをほとんど失っており、『(自分が)特定の分野に参加したばかりで経験やスキルを持たない人』という意味で使われています」と述べ、noobという言葉がもはや悪口ではなく、自虐的な表現として使われていると指摘しています。