Apple Payは全クレジット決済の10分1を占めるまでに成長するという指摘
2014年にスタートしたAppleの電子決済サービスApple Payが、2025年には全てのクレジットカード決済の10分の1を占める勢いで成長しています。Apple Payの圧倒的な強さはどこからくるのかを、ビジネス情報サイトQuartzがまとめました。
Apple Pay on pace to account for 10% of global card transactions ? Quartz
https://qz.com/1799912/apple-pay-on-pace-to-account-for-10-percent-of-global-card-transactions/
Apple Pay could account for 10% of all card transactions by 2025, analysts estimate - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2020/02/11/apple-pay-transaction-card/
Quartzは「市場調査会社の最近のレポートによると、Apple Payは既に世界のカード決済の約5%を占めており、この成長傾向が続けば2025年には10%にまでシェアを拡大させると見られています」と報告しました。
以下は2017年2月以降におけるクレジット決済の主要ブランド3社の株価累積総合利回りを表したグラフで、紫色の折れ線がMastercard、ピンク色がVisa、黒色がAppleを示しています。赤枠で囲った部分を見ると、特に2019年末から2020年にかけて、AppleがVisaを追い越す勢いで成長を見せていることが分かります。
Appleのティム・クックCEOは決算報告の中で「Apple Payは同様の決済サービスPayPalの4倍以上のスピードで成長しています」とコメント。Appleの投資家向け発表でも、Apple Payを含むAppleのサービス部門は2019年第4四半期だけで前年同期比17%増の127億ドル(1兆3952億円)以上もの収益を達成していることが判明しています。
Quartzは「洗練されていて、機能が豊富な決済サービスがApple Payしかないわけではありませんが、Apple PayにはiPhoneにプリインストールされている独自の強みがあります」と分析しています。Apple Pay以外に勢いがある決済サービスとしては、QRコードを使用するAlipayやWeChat Payなどがありますが、これらをスマートフォンで使用するには、アプリを外部からインストールしなければなりません。これに対して、Apple Payは近距離無線通信(NFC)を用いたiPhoneに標準搭載された決済機能なので、iPhoneユーザーがそのまま潜在的なApple Payユーザーとなります。
また、AppleはiPhoneでのNFCの使用を強力に制限しており、ほぼ唯一の例外が日本のSuicaです。このため、サードパーティの決済サービスがiPhoneユーザーに手出しできない状況が続いており、このこともApple Payの成長に拍車をかけています。
こうした状況を危険視する声もあります。ドイツ議会は2019年11月に、Appleに対しiPhoneのNFCモバイル決済をApple Pay以外にも開放するよう要求する法案を可決。欧州委員会の反トラスト規制当局も、Apple Payが独占にあたるかどうかを念頭に、Apple Payの市場へのインパクトなどについての調査に乗り出しているとのことです。
市場調査会社Juniper Researchのスザンナ・ハンプトン氏は「Appleは目下、統合されたエコシステムの活用によりモバイル決済分野で大きなリードを見せています。GoogleやSamsungといった競合他社が市場での存在感を増すためには、引き続きサービスの拡大に努めていかなくてはならないでしょう」と述べました。
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