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ウイルス対策のマスク着用が日常生活にもたらす意外な弊害とは?

by DragonImages

中国では、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスへの対策として、武漢市を含む複数の自治体や都市でマスク着用の義務化が発令されました。こうしたマスクの普及により、予期せぬ弊害が市民生活に影響を及ぼしていると報道されています。

Facial recognition fails in China as people wear masks to avoid coronavirus - Face ID fails users as the China coronavirus outbreak sparks widespread adoption of surgical masks | Abacus
https://www.abacusnews.com/tech/facial-recognition-fails-china-people-wear-masks-avoid-coronavirus/article/3048006

新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれて、中国ではマスクを着用する人が急増しているほか、政府もマスクの着用を奨励しており、街を出歩く人のほとんどがマスクで顔が隠れるようになりました。これに伴い、スマートフォンや公共施設の建物に設置された機器による顔認証が機能しなくなっていると報じられています。

全国民の監視を目指す社会信用システムが導入されている中国では、さまざまな形態で顔認証が行われており、極端な例では「トイレットペーパーの窃盗を防ぐため顔認証しなければトイレットペーパーが使えない公衆トイレ」まで存在しています。

UNESCO World Heritage site Beijing's Temple of Heaven installs face scanners to catch loo… https://t.co/1nyM4Y9DQm

— WorldHeritageNews (@HeritagePaper)


プライバシーの侵害を懸念する人たちからは、顔認証による監視が機能しなくなったことを歓迎する向きもあります。一方で、顔認証技術がもたらす利便性が失われたことに、多くの中国人から困惑の声が挙がりました。あるiPhoneユーザーはSNSのWeiboで、「最近は四六時中マスクをしているので、顔認証でロックを解除する欠陥スマートフォンには心底困らされています!」と投稿


また別のiPhoneユーザーの女性も「ここ2日間は寝ているとき以外は常にマスクをしているので、iPhoneのFace IDはとても使いづらいです」と投稿して、Appleに指紋認証を復活させて欲しいとの要望を語りました。


中国の大手通信機器メーカーHuaweiのブルース・リー副社長はWeiboで、「主力スマートフォンのHUAWEI Mate 20 Proでマスク着用を想定した顔認証をテストしましたが、目や頭の特徴点が少なすぎてセキュリティを確保することができず、最終的にマスクやスカーフを着用しての顔認証ロック解除を断念しました。そのため、3D顔認証機能とともに、当面は指紋認証もサポートしていく予定です」と投稿しており、マスクでの顔認証がいかに難しいかを指摘しています。


弊害は単にスマートフォンのロック解除が面倒になったことだけではありません。顔認証を使用したマンションのオートロックが解除できなくなったり、銀行口座へのアクセスが困難になったりする事例も報告されています。また、金銭的な取引の際にも顔認証での支払いを使用することが増えているため、日常の買い物にも支障を来しています。マスクを顔から一瞬ずらせば顔認証は可能ですが、顔認証が生活の至るところに浸透しているため、突然顔認証ができなくなったことには多くの人が当惑し、ストレスを感じているとのこと。

中国の技術系ニュースサイトAbacusは、インターネット上に投稿された「(セキュリティ用の)コミュニティゲートが顔認証をしてくれず、ぼうぜんとしましたが、2分後に自分がマスクをしていることに気がつきました」という書き込みを取り上げて、顔認証がいかに中国人の生活に浸透しているかを指摘しました。

マスクの普及により思わぬ弊害が発生している一方で、意外な便利さを見いだした人もいます。ある女性はWeiboで「マスクをして帽子をかぶれば、1分で外出できます。ファンデーションを塗る必要も、シャンプーをする必要もありませんからね」と投稿して、毎朝の面倒な化粧が不要になったことを喜びました。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by log1l_ks

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