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新型コロナウイルスとインフルエンザの症状や予防策を比較するとこうなる


2020年1月に入り感染者数が一気に増加している新型コロナウイルスの危険性が大きく報じられる一方、毎年のように数十万人の死者を出している季節性インフルエンザの方が危険という声もあります。実際のところ、これまでに得られた知識から2つのウイルスに感染したときの症状や防止策の違いなどを、科学系ニュースサイト・Live Scienceのレイチェル・レットナー氏がまとめています。

How does the new coronavirus compare with the flu? | Live Science
https://www.livescience.com/new-coronavirus-compare-with-flu.html


まず、症状に着目すると、新型コロナウイルス(2019-nCoV)と季節性インフルエンザは「呼吸器系の疾患を引き起こす」という点では共通しています。

インフルエンザの場合、発熱、せき、咽頭痛、筋肉痛、頭痛、鼻づまり、疲労感、嘔吐(おうと)、下痢といった症状が出て、2週間ほどで回復します。中には肺炎などの合併症を起こす人もいます。入院するほど重症化するのは約1%だとのこと。


2019-nCoVの場合、一般的な症状は発熱、せき、息切れです。約5%の患者で咽頭痛と鼻水が、約1~2%の患者で下痢、悪心(吐き気)、嘔吐の症状が出ます。世界保健機関のデータによると、重症化するのは約14%。症状のみで呼吸器系の疾患を引き起こすウイルスと見分けることは、とても難しいそうです。

死亡率は、インフルエンザが約0.05%なのに対して、2019-nCoVは約2%と差があります。ただし、2019-nCoVについては感染拡大初期に重度の症例のみが取り沙汰されて数値が高く偏っていることが指摘されており、軽度の症例が特定されれば、もうちょっと死亡率は下がるとのこと。

「基本再生産数(R0)」という、ウイルスがどれだけ拡散しやすいかを示す値はインフルエンザが約1.3で、2019-nCoVが約2.2。2019-nCoVは、1人の感染者が約2.2人にウイルスを拡散しているということです。ただ、この数値は定数ではなく、拡散を抑える努力の影響などで、場所によって変動します。

by Michael Amadeus

予防策という点では、インフルエンザはワクチンがあるのに対して、2019-nCoVにはまだワクチンはありません。2019-nCoVのワクチンについては、今後3カ月以内に臨床試験のフェーズ1が始まる予定となっています。

2つのウイルスには似た部分と大きく異なる部分がありますが、拡散防止という点では「石けんを使って20秒以上手洗いすること」という共通の予防策があります。洗っていない手で目や鼻、口などに触れないようにしてください。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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