4K/30fpsの360度ムービーが撮影可能で低価格なのにハイスペックな全天球カメラ「RICOH THETA SC2」実機レビュー
360度全方位の4Kムービーや静止画が撮影可能な全天球カメラ「RICOH THETA SC2」が2019年12月13日(金)に登場しました。RICOH THETA SC2は2016年に発売された低価格なのに簡単かつ高画質な360度写真の撮影が可能な「RICOH THETA SC」の後継モデルであり、RICOH THETA SCでは撮影できなかった4K/30fpsのムービーが撮影可能になっていたり、撮影するシチュエーションに合わせてモードを変更できたりと各所に改良がなされています。RICOH THETA SC2の実機を借りることができたので、実際に使ってその性能を確かめてみました。
製品紹介 | RICOH THETA SC2
https://theta360.com/ja/about/theta/sc2.html
・目次
◆外観
◆静止画・ムービーの公開・共有
◆THETA SC2の新機能
◆外観
「RICOH THETA SC2」の外箱はこんな感じ。白い箱に本体のイラストが描かれています。
内容物は本体、クイックスタートガイド、お客様への重要なお知らせ、Micro-USBケーブル、ケーブル、ソフトケースとなっています。
本体正面には上からカメラ、シャッターボタン、OLEDパネルがついています。
THETA SCでは本体からバッテリー残量を確認することはできませんでしたが、THETA SC2ではOLEDパネルからバッテリー残量などの各種情報を確認することができます。
正面から向かって右側の側面には、電源ボタン、無線LANのオンオフを切り替える無線ボタン、撮影モードを切り替える撮影モードボタン、セルフタイマーを設定できるセルフタイマーボタンがついています。
左側の側面にはボタンはついていません。
本体底面にはMicro-USB端子、シリアルナンバー、三脚ネジ穴が並んでいます。
本体上部にはマイクの穴が4つあります。
本体のサイズはTHETA SCと同じ45.2mm×130.6mm×22.9mmで、重さはTHETA SCよりも2g重い104gです。長辺145.6mmのPixel 3とサイズを比較するとこんな感じ。THETA SC2のほうがPixel 3より少し小さいです。
握ってみると、成人男性の手にすっぽりと収まるサイズです。
カラーバリエーションはTHETA SCと同じくブルー・ベージュ・ピンク・ホワイトとなっていますが、ブルー・ベージュ・ピンクはTHETA SCとは異なる色合いになっています。
◆静止画・ムービーの撮影・共有
THETA SC2本体のみでも撮影は可能ですが、プレビュー確認や撮影設定などはアプリを用いて行います。アプリはiOS版とAndroid版があり、今回はiOS版を使って撮影してみます。
「RICOH THETA」をApp Storeで
https://apps.apple.com/jp/app/id1023254741
RICOH THETA - Google Play のアプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.theta360
名称は変わっていますが、アプリ自体は2016年にレビューしたTHETA SCで使用したアプリ「RICOH THETA S」と同じものを使います。赤枠で囲ってあるアイコンをタップし、アプリをインストールして……
「開く」をタップします。
アプリを開くと、「"THETA"がBluetoothの使用を求めています」とポップアップが表示されるので「OK」をタップ。
続いて「"THETA"が写真へのアクセスを求めています」とポップアップが表示されるので、こちらも「OK」をタップします。
さっそく撮影を行うために「撮影」をタップします。
撮影する前にカメラの登録を促されたので「新しいカメラの登録」をタップ。
シリアルナンバーの入力を求められるので、本体底面に書いてあるシリアルナンバーを入力します。
本体の無線機能をオンにする必要があるとのことなので、まずは本体の電源を入れます。
電源ボタンを押すと、電源が入りボタンが光ります。
続いて無線機能をオンにするため、無線ボタンを押します。
無線ボタンを押すと、本体正面のOLEDパネルに無線マークが表示され、無線機能がオンになりました。
無線機能がオンになったのでアプリ上の「登録」をタップ。
無線への接続を確認されるので「接続」をタップ。
接続が完了すると、すぐに撮影モードに入りました。赤枠で囲ったボタンを押すことで静止画の撮影やムービーの録画開始・停止を操作できます。
さっそく室内で撮影した静止画がこれ。
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
基本的な撮影機能はTHETA SCと同じです。EVで露光の調整ができたり……
ホワイトバランスを設定したりすることが可能。
「Option Setting」ではノイズ低減やDR補正、HDR合成などの機能を使うことができます。
より細かく撮影条件を調整をしたい場合は、右下のボタンをタップします。
「シャッター優先」「ISO優先」のモードを選ぶことで、シャッタースピードやISO感度を自分で調整することが可能。
撮影後のファイル転送や編集・共有の方法も基本的にはTHETA SCと同じで、撮影した静止画は「カメラ内画像」の「未転送」タブに表示されます。
画像のアイコンをタップするとiPhoneに無線でファイルを転送することができます。
転送が完了した静止画やムービーは「転送済み」タブへと移動し、SNSへの共有やぼかし加工、「THETA+」というアプリを使ったエフェクトの追加やデコレーションが可能になります。
◆THETA SC2の新機能
せっかくなので屋外でTHETA SC2の新機能である4K/30fpsのムービーを撮影してみます。
THETA SC2で撮影した4K/30fpsムービーはこんな感じ。
RICOH THETA SC2で360度全天球ムービーを撮影してみた01 - YouTube
一方これが2016年にTHETA SCで撮影した2K/30fps相当のムービー。
RICOH THETA SCで撮影してみた02 - YouTube
ムービーを拡大してみると、明らかにTHETA SC2で撮影したムービーのほうが細部までくっきりと表現されており、ムービー撮影の機能がかなりパワーアップしているのがわかります。
また、THETA SC2では静止画を撮影する際、撮影シーンに合わせてモードを選択できる「Preset」機能も新しく搭載されています。赤枠部分をタップすると「夜景」「車窓」「顔」の3種類のモードを選べるので、実際に試してみました。
通常のオートモードで撮影した夜景の静止画がこれ。
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
Preset機能で「夜景」モードを選択して撮影するとこんな感じ。ノイズが低減され、かなり明るく撮影できました。THETA SC2ではムービー撮影時のISO感度がTHETA SCのISO100~1600からISO64~6400とかなり強化されているので、その効果もありそうです。
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
次は「車窓」モードを試してみます。まずはオートモードで電車内から撮影してみると、天候が良くないこともあり、全体的に暗い印象を受けます。
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
続いて「車窓」モードで撮影した静止画がこれ。全体的に明るくなり、車内もくっきりと映っています。
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
最後に「顔」モードを試してみます。これが通常のオートモードで撮影した静止画。
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
「顔」モードを使うと、顔が少し美白になりました。
Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
他にもTHETA SCからTHETA SC2へのアップデートで追加された機能として「手振れ補正」があります。実際に歩きながらTHETA SC2で撮影したムービーがこれ。意識してカメラを持つ手を揺らしていましたが、細かな振動は補正されている印象を受けます。
RICOH THETA SC2で360度全天球ムービーを撮影してみた02 - YouTube
また、Bluetoothによるシャッター機能も新しく搭載されているので、Bluetoothに対応した市販のシャッターリモコンを用いて操作を行うことも可能です。
Amazon | エレコム 自撮り棒 セルカ棒 Bluetooth リモコン付 ブラック ブラック P-SRBBK | 家電&カメラ オンライン通販
前モデルのTHETA SCは写真撮影をするには十分であるものの、ムービー撮影をする場合には4K撮影や手振れ補正が搭載されておらずいささか力不足といった印象でしたが、THETA SC2ではムービー関連の機能がかなり強化されています。その分価格が前モデルから1万円ほど上がっていたり、4K撮影の負荷に耐えるためムービーの連続撮影時間が5分から3分に短くなったりしていますが、「写真撮影だけでなく、たまにはムービー撮影もするかも……」といった人にはオススメのカメラ。それ以外にもPreset機能を使えば自分で細かい設定を行うことなくシーンに合わせてきれいな静止画をとることができる、360度全天球カメラに必要な機能を正統進化させたモデルと言えそうです。
THETA SC2の価格はメーカー公式ストアでは税込3万6800円です。記事作成時点ではAmazon.co.jpでも取り扱いがあり、税込3万3455円で販売されています。
Amazon.co.jp: リコー 360度カメラ RICOH THETA SC2 ホワイト 全天球カメラ シータ 10800: カメラ
なお、THETA SC2のスペックは下記の通りです。
【本体カラー】ブルー・ベージュ・ピンク・ホワイト
【撮影距離】約10cm~∞(レンズ先端より)
【撮影モード】静止画:オート、シャッター優先、ISO優先、マニュアル *2/動画:オート
【露出制御モード】プログラムAE、シャッター優先AE、ISO優先AE、マニュアル
【露出補正】静止画・動画:-2.0~+2.0EV 1/3EVステップ *2
【ISO感度(標準出力感度)】静止画:(オート)ISO64~1600、上限設定可能、(ISO優先、マニュアル)ISO64~3200 *2/動画:(オート)ISO64~6400、上限設定可能
【ホワイトバランスモード】静止画・動画:オート、屋外、日陰、曇天、白熱灯1、白熱灯2、昼光色蛍光灯、昼白色蛍光灯、白色蛍光灯、電球色蛍光灯、水中、色温度(2500K~10000K) *2
【シャッタースピード】静止画:(オート)1/25000秒~1/8秒、(シャッター優先)1/25000秒~1/8秒*2 、(マニュアル)1/25000秒~60秒*2/動画:(オート) 1/25000秒~1/30秒
【記録媒体】内蔵メモリー 約14GB
【記録可能枚数、時間】静止画:約3,000枚/動画(1回の記録時間):最大3分*3/動画(合計の記録時間):(4K)約32分、(2K)約115分
【レンズ_F値】F2.0
【撮像素子_サイズ】1/2.3(×2)
【有効画素数】約1200万画素(×2)
【出力画素数】約1400万画素相当
【無線準拠規格】 IEEE802.11 b/g/n (2.4GHzのみ)/Bluetooth 4.2
・関連記事
低価格なのに簡単かつ高画質な360度写真の撮影が可能な「RICOH THETA SC」でどんな写真が撮れるのか確かめてみた - GIGAZINE
全天球360度写真&ムービーをボタン1つで撮影できる「RICOH THETA Z1」実機レビュー - GIGAZINE
360度の4K/30fpsムービーが撮れ空間音声記録に対応した「RICOH THETA V」レビュー、前モデルからどう進化したのか? - GIGAZINE
4K&360度のカメラ「RICOH THETA V」を使って4Kライブストリーミングしてみた - GIGAZINE
ボタン一発で360度写真が簡単に撮れる「RICOH THETA」をパワーアップさせるアクセサリーを使ってみました - GIGAZINE
プロ顔負けの全天球写真・ムービーを簡単に撮影できる「RICOH THETA m15」レビュー - GIGAZINE
周囲360度を捉える全天球カメラ「RICOH THETA」を使ってみました - GIGAZINE
全天球カメラ「RICOH THETA」で台湾の街並みをいろいろ撮ってみました - GIGAZINE
無料で360度写真の風景から人物や不要なものを消してしまえるアプリ「VANISH360」を使ってみた - GIGAZINE
遠隔操作で操作しながら全方位を撮影できるロボット「360 Camera Dolly」で撮影した360度ムービー - GIGAZINE
・関連コンテンツ