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Appleの「AirPods」はiPhoneに次ぐ新たなブームを引き起こせるか?


Appleのワイヤレスイヤホン「AirPods」は非常に売上が好調で、2019年にはiPad以上の売上を記録し、カナル式の「AirPods Pro」も登場しています。Appleの売上を支えるAirPodsはあくまでiPhoneやiPadのアクセサリーとして扱われることも多いですが、前述の通り世界中に広く普及しつつあることから、「iPhoneの次の主力製品となるか?」とテクノロジー系ブロガーのケビン・ルークさんが論じています。

Apple AirPods: iPhone Accessory Or The Next Big Thing?
https://www.kevinrooke.com/post/apple-airpods-iphone-accessory-or-the-next-big-thing

ルークさんは「120億ドル(約1兆3000億円)の売上を記録し、前年比で125%以上の成長率を2年連続で記録しており、さらにApple並の粗利益(30~50%)を持つスタートアップを想像してください。このスタートアップをどの程度の価値と評価するでしょうか?500億ドル(約5兆4000億円)?1000億ドル(約11兆円)?そんな非常に価値あるビジネスこそが、AppleのAirPodsです」と記し、AirPodsというビジネスがいかに価値あるものかを説明しています。


AppleのAirPodsはAppleの展開するビジネスの中で最も急成長しています。2016年にAppleがAirPodsをリリースした際を振り返りながら、ルークさんは「多くの消費者はAirPodsをiPhoneの販売価格を引き上げるための付加製品としか考えていなかった」と指摘。

ルークさんはAirPodsについて、「EarPods(iPhoneに付属するイヤホン)を第二の製品として販売できるようにするアイデア」と記し、Appleが収益を徐々に上げていくための「賢明な動き」と評価しています。しかし、AirPodsの成功は「Appleが当初期待していた成功を上回っている」とのことで、「AirPodsは単なるiPhoneアクセサリー以上のものとなる可能性がある」と記しています。


ルークさんが特に注目しているのが、AirPodsの売上です。

Appleは2017年以降、年間約2億1500万台のiPhoneを販売しています。iPhoneの販売価格が1000ドル(約10万8000円)程度であることから、年間売上は2150億ドル(約23兆円)程度と試算できます。これはAppleの総売上の80%程度を占めています。


これに対して、AppleはAirPodsの販売台数を明らかにしていませんが、2017年のAirPodsの販売台数は1500万台程度と推定されています。AirPodsの販売価格が150ドル(約1万6000円)なので、年間売上は22億5000万ドル(約2400億円)程度となり、iPhoneの総売上の1%程度に相当する計算になります。

さらに、2018年のAirPodsの販売台数は推定3500万台となっており、AirPodsの総売上は52億5000万ドル(約5700億円)にまで増加。この数字はiPhoneの総売上の2.4%程度。

そして2019年、AirPodsの推定販売台数は6000万台にまで増加しました。2019年にはワイヤレス充電可能な専用ケースも登場しており、このケースとAirPodsのセットの場合は販売価格が200ドル(約2万2000円)、AirPods Proの販売価格は250ドル(約2万7000円)となっています。AirPods、ワイヤレス充電ケース版のAirPods、AirPods Proが均等に売れていると仮定した場合、AirPodsの総売上は120億ドル(約1兆3000億円)程度と試算でき、これはiPhoneの総売上の4.5%に相当します。


4.5%という割合はそれほど大きな数字に感じません。しかし、推定販売台数の推移からAirPodsの売上は2018年には前年比で133%増、2019年には前年比で128%増となっており、その成長率は非常に優秀。

加えて、AirPodsの売上を世界のトップテクノロジー企業と比較すると、AirPodsがいかに売れているかがよくわかります。AirPodsの売上はAdobe、NVIDIA、AMD、Spotifyといった企業の売上を上回っており、2020年にも同じような成長(成長率125%以上)を遂げれば、「AirPodsだけでUber以上の売上を記録することになる」とルークさん。


そして当然ですが、AirPodsはあくまでもAppleのオーディオ関連ビジネスの一部に過ぎません。Appleは2014年にBeatsを買収していますが、同ブランドのオーディオ機器はAirPodsの売上には含まれません。

ルークさんはiPhoneの稼働台数が9億台を超えることから、「AirPodsの販売台数がこれからさらに大きく成長する余地がある」と記しています。また、AirPodsの販売台数が伸びれば「Appleの株価にも大きく反映される可能性が高い」とも指摘。

さらに、AirPodsについては2020年に専用のOSが登場する可能性が報じられており、TTYLYacといったオーディオ関連アプリケーションが話題を呼んでいることからも、今後のさらなる成長が予測されます。


ルークさんは「AppleがAirPodsとオーディオ関連アプリケーションのエコシステムを正しく構築できれば、AppleはAirPodsの需要を落とさずにその単価を引き上げることも可能となります」と記しており、Appleの戦略次第でAirPodsにはより大きな成長が見込めると指摘。

スマートフォン市場は既に飽和状態にあるとされており、高価格帯のスマートフォンに対する需要は年々小さくなっています。しかし、AppleがAirPodsをiPhoneのようなヒット商品に仕上げることができれば、企業としてさらなる成長を遂げることが可能になるとルークさんは述べています。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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