「物理的にあり得ない動きをするUFOの映像」を戦闘機で飛行中に撮影した元海軍パイロットが当時の経験を語る
by maxime raynal
2004年11月、アメリカ・カリフォルニア州のサンディエゴ沖でアメリカ海軍のパイロットたちが謎の飛行物体に遭遇し、そのうちの1人が赤外線カメラを使って飛行物体を撮影することに成功しました。「USSニミッツUFO事件」と呼ばれるUFO遭遇事件発生から15年が経過して、ついに赤外線カメラ映像を撮影した当人である、元海軍パイロットのチャド・アンダーウッド氏が当時の出来事について語っています。
‘Tic Tac’ UFO Video: Q&A With Navy Pilot Chad Underwood
http://nymag.com/intelligencer/2019/12/tic-tac-ufo-video-q-and-a-with-navy-pilot-chad-underwood.html
Navy Pilot Who Filmed UFO Describes Experience
https://gizmodo.com/navy-pilot-who-filmed-ufo-describes-moment-it-stopped-b-1840532119
事の発端は2004年11月の上旬に、海軍のミサイル巡洋艦「プリンストン」のレーダーが不審な飛行物体を捉えたことでした。プリンストンのレーダーオペレーターを務めていたケビン・デイ氏は、サンディエゴ沖のサンクレメンテ島の付近を、不審な飛行物体がゆっくりと飛んでいることに気づいたとのこと。
飛行物体の高度はおよそ2万8000フィート(8530m)、速度はおよそ138マイル/時(222km/h)だったそうで、鳥と考えるには高度があまりにも高く、飛行機としては遅すぎる速度でした。また、飛行物体は確立した進路をとっていなかったそうで、デイ氏をはじめとするプリンストンのレーダーオペレーターたちは1週間以上にわたって飛行物体の把握に努めましたが、飛行物体の正体は掴めませんでした。この際、プリンストンのレーダーシステムを一旦シャットダウンして再調整し、レーダーの観測が誤検知でないことを確かめる操作も行われました。
その後も飛行物体は断続的にレーダーで観測され、2004年11月14日に再び同じ飛行物体が観測されると、海軍の航空母艦であるニミッツからF/A-18E/F戦闘機に乗り込んだ海軍パイロットたちが出撃し、戦闘演習という形式で飛行物体の確認に向かいました。アンダーウッド氏の上官だったデヴィッド・フレイバー氏を含むパイロットたちがデイ氏の指示で現場に向かうと、その場には何の物体も存在していませんでしたが、戦闘機のはるか下の海上で異常な物体がホバリングしている様子を見たとのこと。当時のパイロットたちによると、飛行物体に近づこうと戦闘機が降下するに従って飛行物体が戦闘機と距離を保ったまま上昇し、加速したまま2秒ほどで視界から姿を消したそうです。
ニミッツから飛び立った第1陣が帰還してから、第2陣として出撃したのがアンダーウッド氏らのグループでした。アンダーウッド氏の戦闘機は左翼に高性能な赤外線カメラを搭載しており、高さ1万5000マイル(約4600m)~2万4000マイル(約7300m)ほどの空中を浮遊する不審な飛行物体を撮影することに成功しました。実際にアンダーウッド氏が撮影したムービーが以下。
FLIR1: Official UAP Footage from the USG for Public Release - YouTube
空を撮影した画面の中央に妙な物体が浮いており、カメラのセンサーがしっかりと物体の位置を捉えていることがわかります。
倍率を上げてズームするとこんな感じ。
画面をTVモードにした様子がこちらで、日中の空中に浮かんでいる楕円形の物体の形が比較的ハッキリと見えます。
やがて、飛行物体は急にカメラの中央から外れ……
左方向へスルッと移動します。
その後、センサーが再び飛行物体の位置を捉えますが……
飛行物体が急加速して視界の左側へと消えていってしまいました。このUFOは当時のパイロットが「チクタク(Tic-Tac)した動きだった」と述べたことから「チクタクUFO」ともいわれていますが、この名称の元になったのがアンダーウッド氏の発言だったとのこと。
なお、このムービーは2019年にアメリカ海軍が「謎の飛行物体のムービーはフェイクではなく本物であり、『未確認の空中現象』として捉えている」と認めました。
UFO動画は「本物」だとアメリカ海軍が認める、ただし海軍に公開の意図はなかった - GIGAZINE
アンダーウッド氏によると、当日はフレイバー氏らの第1陣が着陸すると同時に飛び立ち、飛行物体のムービーを撮影することに成功したとのこと。アンダーウッド氏は距離の問題から自分の肉眼で飛行物体を見ることはできなかったそうですが、赤外線カメラは20マイル(約32km)離れた距離での撮影が可能だったため、肉眼で見えない10マイル(約16km)以上離れた位置から飛行物体を撮影できたと述べています。
実際に飛行物体と遭遇したアンダーウッド氏が妙に感じる点として挙げているのが、飛行物体の不規則な動きです。撮影に成功した飛行物体は他の空中目標と比較して高度や速度、アスペクトの変化が全く違い、「物理的に正常でない方法」で移動していたそうで、有人であろうと無人であろうと航空機が従うべき物理法則に従っていなかったとのこと。なお、飛行物体が急に視界から外れている点については、「機体が傾いたためにカメラの撮影範囲がズレたのではないか?」との指摘もありますが、アンダーウッド氏は正面から物体に接近していたと反論しています。
また、航空機には推進のためのエンジンが搭載されているため、通常であれば赤外線カメラが飛行物体の周囲に発される熱を感知できるはずです。ところが、この飛行物体には排気熱や推進のエネルギーの兆候が見られない点が興味深いとアンダーウッド氏は指摘。
ムービーを撮影してニミッツに帰還したアンダーウッド氏は、「おい、お前も何か変なものを見たのか?」とからかってきた同僚の友人に対し、「そうだよ、お前がからかってくると思ったからビデオを撮ってきた」と答えたとのこと。アンダーウッド氏は一連の出来事について口外しないように指示されたため、その後も同僚などとの間でニミッツUFO事件のことが話題になっても自身の考えを話すことはなく、撮影したものが何だったのかという推測もしてこなかったそうです。
アンダーウッド氏はすでに海軍パイロットを退職し、民間のフライトインストラクターとして働いています。「私はエイリアンの存在などを話すコミュニティの一員になりたくはありません。あれはまさにUFO(未確認飛行物体)でした。シンプルに、『正体が特定できない飛行するオブジェクト』です」と、アンダーウッド氏は述べました。
by PhotoVision
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