Netflixが歴史的な劇場を再オープンさせオリジナル作品の上映の場に
2019年8月に閉鎖が発表されたニューヨークの歴史的な劇場を、Netflixが自社作品の上映やイベントに使う「ホーム」として再オープンさせることが明らかになりました。これにより、Netflixは映画業界にさらに1歩踏み込んだことになります。
Netflix reopens iconic New York theater to showcase its most prestigious films - The Verge
https://www.theverge.com/2019/11/25/20982216/netflix-paris-theater-movies-new-york-oscars-irishman-marriage-story-egyptian
Netflix上で配信される作品は高く評価されながらも、「劇場公開されていない」という理由から映画賞の対象とされない傾向にあり、アカデミー会員であるスティーヴン・スピルバーグ監督も「Netflixはオスカーよりもエミー賞と戦うべき」と発言しています。既存のメディアとは違うやり方で人気映像作品を世に送り出し続けているNetflixはたびたび映画業界と衝突しており、2018年には映画賞に参加するために劇場を購入する予定だったことも報じられました。
Netflixは映画館の購入を検討していたと報じられる - GIGAZINE
そんな中、新たにNetflixが2019年8月に111年の歴史に幕を閉じたニューヨークの劇場を、再オープンさせることがわかりました。老舗映画館である「Paris Theater」(パリ劇場)は全581席、ニューヨークでは唯一の、スクリーンが1つしかない「シングルスクリーン」の映画館となっています。
????Major news alert ????
— Netflix Film (@NetflixFilm) 2019年11月25日
We’re beyond thrilled to announce that the doors to New York’s iconic Paris Theatre will remain open! pic.twitter.com/m5K0MZQz16
Netflixはマーティン・スコセッシ監督悲願のマフィア映画「アイリッシュマン」を2019年11月27日からオンラインで配信予定ですが、11月1日からアメリカの映画館でも上映されています。この上映に関してNetflixは大手映画館チェーンのAMCシアターズやリーガルとも交渉したそうですが、上映はかないませんでした。Netflixによるパリ劇場の再オープンは、Netflixと大手映画チェーンとの対立をふまえてのことだとみられています。
パリ劇場では当面の間、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバー主演作品の「マリッジ・ストーリー」が上映されます。その後、パリ劇場はNetflixの「ホーム」となり、イベントで使用されたり作品が上映されたりが予定されているとのこと。
After closing earlier this year, The Paris — New York’s last single-screen theater — reopened for a limited run of MARRIAGE STORY. Now, the iconic theater will be kept open and become a home for special Netflix events, screenings, and theatrical releases. pic.twitter.com/fr82Oq2j8I
— Netflix Film (@NetflixFilm) 2019年11月25日
Netflixの最高コンテンツ責任者であるTed Sarandos氏は投資家に対し、Netflixがより映画に対して野心的になっていることを明かしました。Netflixは第4四半期だけで6アンダーグラウンド、アイリッシュマン、マリッジ・ストーリー、2人のローマ教皇、ルディ・レイ・ムーアというスケールの大きな映画を次々に公開しており、「1四半期にこのようなスケールとボリュームの映画を目にすることは初めてであり、非常に興奮しています」とSarandos氏は語りました。Netflixは今後の展開を見越して映画を映画館で上映したい映画監督にアピールする必要があり、マーティンス・コセッシ監督や、マリッジ・ストーリーのノア・バームバック監督からの投資は重要な意味を持つとのこと。
映像作品が映画賞を受賞するには、少なくとも21日間は劇場公開する必要があります。このため、全国に小さな劇場を持つことで、Netflixが自分の映画を好きなだけ上映できるようになると同時に、ストリーミングサービスでこれらのタイトルを同時にリリースして、サービス加入者と映画製作者の両方の希望を満たすことができるとみられています。
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