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Amazon倉庫がない小さな町に人口の2倍の荷物が毎日流入する理由とは?

by Global Panorama

アメリカのモンタナ州にあるラウンドアップという町は、もともと自給自足で暮らす人や牧場経営者が多く、炭鉱町として栄えたこともあったものの、2019年時点では住民は2000人以下の小さな町となっています。このラウンドアップが、近年は奇妙な形で「Amazonのハブ」となり、住民の数の約2倍の荷物が毎日流れ込む事態となっているとのこと。Amazon非公式の倉庫がどのような形で機能しているのか、その内情が明かされています。

Why thousands of Amazon packages converge on a tiny Montana town - The Verge
https://www.theverge.com/2019/11/14/20961523/amazon-walmart-target-package-delivery-sales-tax-montana-roundup


Amazonは世界各地に倉庫やフルフィルメントセンターを持ちますが、ラウンドアップにはいずれもありません。ラウンドアップにあるのは、Amazonの公式施設ではない、「プレップセンター(Prep Center/準備センター)」と呼ばれるもの。プレップセンターは、自動化が進むAmazon倉庫の基準を満たすための「製品の梱包」に特化した施設となっています。

ラウンドアップがAmazonのハブとなった理由は、2015年にまで遡ります。当時39歳だったKristal Grahamさんは、亡くなった弟の本を売るためにAmazonのマーケットプレイスを使ったことをきっかけに、マーケットプレイスの世界に夢中になりました。


Amazonマーケットプレイスは、Amazon公式ではない、サードパーティー向けの販売プラットフォームです。もともと弟の本を売るためにマーケットプレイスを使っていたGrahamさんでしたが、本の在庫がつきると、今度はAmazonで他の小売業者から仕入れた本を販売することを思いつきました。

このような転売は、Amazonでは珍しいことではありません。ただし、Amazonの配送センターであるフルフィルメントセンターを利用するには、自動化されたフルフィルメントセンターに対応した梱包が必要になります。フルフィルメントセンターでは自動走行ロボットが移動して荷物を運び、人力は最小限に抑えられているためです。

Amazonの棚をまるごと背負って運ぶ自律走行ロボットを巨大物流システム「Amazon Robotics」の現場で見てきました - GIGAZINE


フルフィルメントセンターの要求を満たすには、古いバーコードは新しいバーコードに張り替える必要があり、ガラスは梱包材で包み、安定性のないアイテムは箱に固定しなければなりません。このニーズを読み取ったGrahamさんは転売者が購入したアイテムの再梱包を行うプレップセンターのビジネスを開始し、2019年11月時点でニューハンプシャーやオレゴン、デラウェアといった消費税のない地域に複数の施設を構えるようになりました。転売者はターゲットのような小売業者からアイテムを購入した時にこれらのプレップセンターの住所を入力すれば、マージンを数%多くすることが可能です。

Grahamさんがビジネスをスタートすると、すぐにウォルマートやターゲットといったアメリカ中の店舗から荷物が届きだしたとのこと。取り扱う荷物の量があまりにも多くなったためGrahamさんは数十人の従業員を雇いましたが、その中には家族や友人もいました。しかし、あまりにも流入量が多く、長時間にわたる重労働を行うことになったこともあり、友人関係が破綻。Grahamさんのもとを去った友人のLindaさんが同様のビジネスを独自に始め、Lindaさんの隣人が知人のJillさんにビジネスの存在を話すとJillさんもビジネスを開始。解雇や親類の介護といったさまざまな事情を抱える女性たちが、同様のビジネスを開始することで、ラウンドアップのプレップセンターは急増しました。ラウンドアップでは毎日、町の人口の約2倍にあたる3000~4000個のAmazon用荷物を受け取っているとのこと。

プレップセンターの中に立っているのがGrahamさん。


写真からプレップセンターの巨大さがよくわかります。


過去数年にわたって、マーケットプレイスの売り手はウェブスクレイピングによって利益を上げることができる製品を見つけ出すためのソフトウェアを開発してきました。しかし、物流システムには、実際の製品が正常であるかを確認し、Amazonの仕様に従って再パッケージをする設備が不足していました。ここの需要にちょうど合致したのがプレップセンターだったわけです。

プレップセンターの登場により、靴やオモチャといったアイテムはまずウォルマートといった小売店からプレップセンターに渡り、その後リパッケージされてAmazonのフルフィルメントセンターへ行き、最終的に消費者の元に届けられる流れができました。また、転売者がプライムシッピングを利用していないAmazonのサードパーティーから製品を仕入れた時は、Amazonからプレップセンターに届けられた荷物が再パッケージングされて、再びAmazonに届けられるという奇妙な事態も起こっているとのこと。これは「Amazonフリップ」と呼ばれています。

アイテムが倉庫と倉庫をただ循環しているだけの事態についてGrahamさんは「奇妙だと思いますし、製品がどれだけの倉庫を経て、どれだけの人の手に渡っているかと思うとぞっとします」と語っています。しかし、実際にAmazonで製品を購入する人は、魔法のように「注文の翌日に製品が届く」という経験をするだけなので、そのことに気づきません。プレップセンターのビジネスを営み裏側を熟知するGrahamさんですら、お店が少なく物資が手に入らないラウンドアップでは、Amazonに頼らざるを得ないとのことです。

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in ネットサービス,   アニメ, Posted by darkhorse_log

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