不安を抱いている人に「してはいけない4つのこと」とは?
by Vera Arsic
家族や友人など、身近な人々が何か大きな不安を抱えている場合、何とかして励ましの言葉をかけてあげたいと思うものです。ところが、たとえ相手のことを思った上での言葉や行動だったとしても、不安を抱えている人にとっては逆効果になるケースもあるそうで、臨床心理学者のJade Wu氏が「不安を抱いている人に言ってはいけない、やってはいけない4つのこと」をまとめています。
4 Things Never to Say or Do When Someone Has Anxiety | Savvy Psychologist
https://www.quickanddirtytips.com/health-fitness/mental-health/never-say-anxiety
◆1:「リラックスしてください」などの言葉をかける
不安になっている人に対しては、どうしても「リラックスして」「落ち着いて」といった言葉をかけてしまいがちです。たとえば、失業して次の仕事が見つからずに不安になっている友人に対し、「なんとか落ち着いて、安心して欲しい」という一心で、「とりあえずリラックスしてみよう」と話しかけることは自然に思えます。
しかし、実際に不安に陥っている人が安心するのは難しいとWu氏は指摘。不安にとりつかれた人は交感神経系が活発になり、恐怖などのストレスに対応する際に起きる「戦うか逃げるか反応」という変化が起きているそうで、心拍数やアドレナリンの分泌量が増加し、筋肉が緊張した状態になります。戦うか逃げるか反応は合理的な思考を無効化するようにデザインされているとWu氏は述べ、この状態に陥った人に「落ち着いて」などと声をかけても意味がないとのこと。
そこで、代わりにWu氏が推奨しているのが、「心配事は何?」といった、自由に回答できる質問をぶつけるというもの。質問に対する回答があれば、今度は「次はどんな仕事を見つけたい?」「どんな仕事に応募してみたの?」といった別の質問を投げかけます。こうして質問を繰り返すことで、相手に「自分はあなたのことを心配しているよ」と伝えられるだけでなく、問題解決の糸口になったり、事実を見つめることで不安を和らげたりできます。
by Ana Paula Lima
◆2:「心配することはありません」と相手の不安を否定する
実際に相手が不安に思う物事ついて聞いてみると、あまり大したことではないように思えることも多く、時には「そんなの大したことじゃないよ」「問題ないよ、大丈夫」「心配しないで」といった言葉をかけることもあります。しかし、この言葉も不安になっている相手にかけるべきではないとWu氏は指摘します。
たとえ自分から見て相手の不安が大したことではないと感じられても、実際に相手は不安に思っている状態であり、不安に思うこと自体を否定すると相手が不機嫌になることがあるとのこと。「あなたにとって、何かささいな一つのことが世界の全てであったように感じられた時代を思い出してみてください。『それは実のところ、大したものではないよ』と、簡単に自分自身を説得できるでしょうか?」とWu氏は述べました。
相手の不安を否定する代わりに、Wu氏は「相手に共感を示すこと」をオススメしています。「二度と彼女と復縁できないだろう」「私の人生はもう終わりだ」といった悲観的な予測に同意する必要はなく、あくまで相手が不安に思っていることそのものに同調し、「確かに今の状態は不安ですよね」という風に共感を示すことで、相手に自分が寄り添っていると伝えられるとのこと。不安に思っている相手が必要としているのは建設的なアドバイスではなく、自分の訴えを聞いてくれる相手であることを認識するのが重要だそうです。
by mentatdgt
◆3:「私にも不安があるよ」などの言葉をかける
誰かが不安を感じている時、「自分にも不安に思うことがあるよ。たとえば……」といった風に、自分の不安を打ち明けて相手の不安を和らげようとする人もいます。ユーモアを交えておもしろおかしく自分の不安を話し、場の空気を和ませることは一見すると有効な行動に思えます。
しかし、こういった言葉をかける際、相手が抱えている不安を小さなものとみなしたり、心配するに値しないと否定したりしがちな点には注意が必要とのこと。うっかり相手を失望させないように、相手が不安を抱えている最中には相手の不安に共感し、「よい聞き手」として振る舞った方がいいとWu氏は述べました。
by Christina Morillo
◆4:不安から逃げる行動を助ける
たとえば、犬を怖がっている子どもを持つ親が、公園で犬に出くわすと慌てて子どもを犬から遠ざけるなど、相手が不安に思う対象から遠ざけて安心させてあげたいと思うのは自然なこと。しかし、「不安から逃げる行動は、余計にその不安を増幅させてしまいます」と、Wu氏は指摘しています。
子どもの視点からすると、「最も信頼する対象である親が、犬と遭遇するたびに自分を保護しようと反応する」ことは、犬が危険な存在なのだという信念を強固にするものです。また、不安から逃れられた際に感じる安堵感は心地のいいものであり、次に不安の対象に遭遇した際にも、不安から逃れる行動を取りやすくなってしまうとのこと。
そこでWu氏は、相手のことを思うのであれば、「相手を優しく励ます応援団になりましょう」とアドバイスしています。「確かに犬は怖いよね。でも、あの犬は悪い犬じゃなさそうだよ。飼い主さんに、触ってもいいか聞いてみましょう」といった風に、感情的にサポートしつつも、相手の不安を克服するように促すことは可能です。不安から逃げ続けるだけでは不安を克服することができず、誰かの優しい励ましが不安を克服する後押しになります。
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