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肉そのものの味・香りなのに牛肉不使用の「Impossible Burger」を製造する工場に潜入したムービー


分子レベルで肉の風味・味・香りを分析し、植物原料から「肉」を再現した人工肉「Impossible Burger」はバーガーキングマクドナルドなど、大手ファストフードチェーンも注目するところ。人工肉と聞くと「一体何が入っているのだ?」と気になるところですが、YouTubeチャンネルのEaterがImpossible Burgerの製造工場に潜入し、何から、どのように人工肉が作られているのかを公開しています。

How Impossible Foods Created the Perfect Meatless Burger— Cult Following - YouTube


Impossible Foodsはアメリカ、カリフォルニア州のレッドウッドシティに本拠を置いています。ということでEaterのダニエル・グリーンさんがやって来たのはレッドウッドシティにあるImpossible Foodsの本社前。


建物の中に入り……


どんどん廊下を突き進んでいきます。


Impossible Foodsを作る工場が見えます。


白衣を着て、実際に中に入ってみます。


中はこんな感じ。調理場でありながら、Macが並んでいる実験場所でもある様子。


ここで、Impossible Foodsの中に入っている材料を見せてもらいます。これら全て植物性原料とのこと。


主原料は大豆に「肉の食感」を与えたもの。


ここに水と……


ポテトプロテインに栄養素やフレーバーを加えたものを追加します。このフレーバーは加熱時に反応して変化するとのこと。


ポテトプロテインを味見したグリーンさんは「グレービーみたい」とコメントしていました。


ポテトプロテインを入れると材料のまとまりがよくなるそうです。また加熱すると水分とくっつき肉汁を生み出してもくれるとのこと。


ヘモグロビンも材料として使われています。


植物も生の状態では鉄のような味のヘモグロビンを持っており、これが加熱されImpossible Foodsに含まれる材料と反応することで、「肉のような味」が生まれます。鉄が含まれているので、そのままなめると「塩辛い血液」のような味になっています。


ヘモグロビンを混ぜると大豆が急にミンチの見た目になってきました。


ひまわり油は健康によいとされる不飽和脂肪酸を含みます。


また、ひまわり油にはセルロースも加えられており、全ての材料をくっつける役割を持ちます。


「焼くと肉汁があふれる」という要素には、常温で固化し加熱で溶けるココナッツオイルも重要な役割を果たします。


これらをスケール化し、巨大な機械の中に再現すれば、店頭で販売されるImpossible Foodsが完成するわけです。


工場はこんな感じ。手前にある袋の中には大量の大豆プロテインが詰まっています。


これを運び……


機械に投入。


ポテトプロテインもどばどば追加します。


さらに、ヘモグロビンを追加し……


しっかりと混ぜていくと、白色だった大豆プロテインが徐々にピンク色に染まっていくのがわかります。


これをラインにのせ、運んでいきます。


成形作業。


こっちは形違い。凍らせてあります。


ここから見ると、よくあるハンバーグ工場の現場のようです。


パッケージに詰め……


密封。


箱詰めされ、出荷されていくわけです。


植物性タンパク質を肉に変える上で重要な役割を果たすのが、ヘモグロビン。チーフ・サイエンティフィック・オフィサーのデイビッド・リップマン氏によると、Impossible Foodsのヘモグロビンは「発酵」を利用して作成しているとのこと。


「チーズにしろワインにしろ、発酵というプロセスは過去数百年にわたって比較的安価なものに価値を与えてきました」とリップマン氏。


「SHAKER 1」と書かれた機械の中ではフラスコが揺すられています。イーストによる発酵を加えることにより、より多くの、より赤いヘモグロビンが産出されるようになるそうです。


複数の菌株を育て、どの菌株が最も効果的かを調査していると、リップマン氏は語りました。


実験の結果、効果的だった菌株を取り出し、さらに詳細な実験を行っていきます。


フラスコの中にある濁った赤い液体がヘモグロビン。このラボでは、上記のようにしてより効率的にヘモグロビンを作り出す方法を実験し続けているわけです。


「Impossible Foodsは牛肉のハンバーガーよりも健康的ですか?」と聞かれたリップマン氏は「創業者のパトリック・ブラウンは物理学者としてこの会社を始めました。私たちは安全で健康的な食品を作ることに注力しています。私たちの製品は地球にとってよいものです。また抗微生物薬耐性細菌は動物に由来しているという点でも、私たちの製品は健康的だといえます。人々が私たちの製品を選ぶには『おいしさ』が求められますが、人々が私たちの製品を選ぶようになれば、それは少なくとも健康的な選択になるはずです」と述べました。


このためImpossible Foodsの優先事項は「健康」ではなく「おいしさ」にある様子。


Impossible Foodsの創業者であるパトリック・ブラウン氏が登場。ブラウン氏はスタンフォード大学名誉教授であり、ハワード・ヒューズ医学研究所研究員でもある人物です。


ブラウン氏はImpossible Foodsを立ち上げた理由について、「人類が直面する環境的な脅威に立ち向かうため」と説明しました。人類の肉の需要に応えるには大量の牛を飼う必要があり、その飼育は気候変動、水資源、土地の利用など、さまざまな点で地球規模の影響を与えているといわれています。


肉を好きな人は、タンパク質と鉄からなる肉のおいしさや、手軽さ、価格の手ごろさが好きなのであり、「動物の死体が好き」なのではありません。そこで、植物性の材料で「肉」そのものを再現する試みが始まったそうです。


「私は牛が好きですが、地球全体を何十億頭もの牛であふれさせたいわけではありません」「もし牛を飼うことの破壊的な影響をなくすことができたら、これはすばらしいことだと思います」とブラウン氏は語りました。


「牛の代わりに大豆を育てても地球によい影響は与えない」という科学者の意見もありますが、2019年時点の食肉産業の状態を考慮すれば、「よりよい」選択肢にはなりえるとグリーンさんは締めくくりました。

なお、Impossible Burgerがどのくらい本物の肉を再現しているのかは、以下の記事から読むことができます。

肉の風味・味・食感を分子レベルで再現した人工肉「Beyond Burger」と「Impossible Burger」を実際に焼いて食べたらすごかった - GIGAZINE

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in 動画,   , Posted by darkhorse_log

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