落雷の発生場所・時刻を予測する人工知能が開発される
By Christopher_Boswell
大気圧・気温・相対湿度・風速に基づいて、「半径30キロメートルの範囲に落雷が発生するかどうか」を予測する人工知能(AI)が登場しました。
Nowcasting lightning occurrence from commonly available meteorological parameters using machine learning techniques | npj Climate and Atmospheric Science
https://www.nature.com/articles/s41612-019-0098-0
Using AI to predict where and when lightning will strike - EPFL
https://actu.epfl.ch/news/using-ai-to-predict-where-and-when-lightning-will-/
They say lightning never strikes twice, but boffins have built an AI to show where it'll come next • The Register
https://www.theregister.co.uk/2019/11/08/ai_predicts_lightning_strikes/
落雷は、人や動物を感電させて死に至らしめるだけではなく、電気設備や建物自体に被害を与え、時には大規模な山火事までも引き起こす災害です。落雷を予測するシステムは、気象庁が提供する「雷ナウキャスト」などがすでに実用化されていますが、それらのシステムでは予測のための装置に高額のコストがかかります。雷ナウキャストの場合は、雷により発生する電波を受信する「検知局」という装置を全国30箇所に設置して情報を集め、中央処理局で演算処理を行って「落雷の確率」を算出しています。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究グループは、スイスの気象観測所の過去10年間データをAIに学習させて、大気圧・気温・相対湿度・風速という4条件から雷を予測するというシステムを開発しました。このAIによる予測は、距離の誤差が半径30キロメートルあり、「10分以内に落雷が発生する」という予測の的中率は約71%で、論文の発表時点では「誤報が多い」とのこと。しかし、大気圧などの4条件はごく簡単に計測できるデータであるため、このAIが実用化に至れば、落雷予測に必要な装置のコストを削減することが可能です。
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本研究において、AIによる落雷予測の考案者であるAmirhossein Mostajabi氏は、「現在実用化されているシステムはレーダーや衛星で取得した高価なデータが必要な上に、処理自体も低速かつ複雑です。我々が開発したAIは、レーダーや衛星の範囲外にあるような遠隔地においても、落雷の発生率を予測することが可能です」とコメントしました。
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