コスプレ時などに使うカラーコンタクトレンズに対して保健当局が注意を呼びかけ
by Salvador Altamirano
毎年10月31日は「ハロウィーン」で、さまざまな仮装を楽しむ人が出てきます。その際、見た目の印象をカンタンに変えられることからカラーコンタクトレンズ(カラコン)を使う人もいますが、本来、カラーコンタクトレンズは医療機器であり、おもちゃのようなものを使っていると最悪失明の恐れすらあるとアメリカ食品医薬品局が注意喚起しています。
Decorative Contact Lenses for Halloween and More | FDA
https://www.fda.gov/medical-devices/contact-lenses/decorative-contact-lenses-halloween-and-more
Here’s why you should never use decorative contact lenses—in graphic pictures | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/10/heres-why-you-should-never-use-decorative-contact-lenses-in-graphic-pictures/
カラーコンタクトレンズは茶色い目を青い目に変えたり、あるいは猫目のような形にしたりすることができる装飾用のコンタクトレンズで、視力を補正する機能はありません。しかし、アメリカではアメリカ食品医薬品局によって視力補正用コンタクトレンズと同様に扱われている「医療機器」です。日本でも2009年11月4日から製造・輸入にあたって厚生労働大臣の承認が必要で、販売にあたっては都道府県知事による販売業許可と販売管理者設置が義務づけられる医薬品医療機器法の規制対象である「高度管理医療機器」となっています。
処方箋をもとに購入したコンタクトレンズであれば問題はないのですが、問題となるのは、適正なルートを経ずに入手した場合です。不適切なコンタクトレンズの使用は感染症や目のただれ、擦過傷、視覚障害、さらには失明を引き起こす恐れもあります。例年、ハロウィーン前後にはカラーコンタクトレンズの使用により緊急搬送される人が出ており、2019年もカラーコンタクトレンズが目から外れなくなって緊急治療室で除去手術を受ける羽目になったという事例が報告されています。
Woman goes to ER to remove contact lenses stuck to eyes
https://www.today.com/health/woman-goes-er-remove-contact-lenses-stuck-eye-t165627
そもそもコンタクトレンズの使用にあたっては、しっかりとしたケアが必要です。2005年に眼科医らが行った調査によると、コンタクトレンズが原因の「深刻な目の病気」によって病院を訪れた患者は12人に上ったとのこと。
カラーコンタクトレンズ使用後に痛みと発赤が出たという16歳女性のケースでは、弟とコンタクトレンズを共用していて、しかも寝る時に外さないこともあったとのこと。この女性の症状は、人工涙液と抗生物質による治療で改善しました。
一方、フリーマーケットで「猫目」レンズを購入した26歳の男性は、アカントアメーバ角膜炎を発症。最終的には角膜移植が必要となり、3カ月後になっても、視力は0.1相当から回復しなかったとのこと。
同じように、美容院でカラーコンタクトレンズを購入したという39歳の女性は、左目に痛みと充血、かすみが出て眼科を受診。その結果、緑膿菌感染症により角膜の中央部に潰瘍ができ、抗生物質療法のため入院。視力が0.4相当まで低下しました。
アメリカ食品医薬品局では、こうした被害者を増やさないために、コンタクトレンズ使用にあたってやるべきこと、やってはいけないことを挙げています。
・1:視力検査を受けること
コンタクトレンズが正しく装着されているかどうかはとても重要で、合わないと目を傷めることがあるので、資格を持った眼科医による検査を受けてください。
・2:処方箋をもらうこと
コンタクトレンズを作る際には、眼科医がコンタクトレンズの処方箋を書いてくれます。処方箋なしで手に入れたコンタクトレンズを装着していると、眼球の一番外側の層である角膜に傷がつくことがあります。ただちに問題が出なくても、ダメージは蓄積します。
・3:コンタクトレンズの手入れ方法に従うこと
使用方法・洗浄方法・消毒方法などがコンタクトレンズに添付されているので、従うこと。もし添付されていない場合は、眼科医に相談してください。
・4:異常時はすぐレンズを外して医療機関へ
「目が赤くなる」「痛みが続く」「目やにが出る」など、なにかコンタクトレンズを使っていて異常があれば、すぐに医療機関を受診してください。発赤や痛み、目から分泌物があるというのは、感染症の兆候です。
・5:コンタクトレンズを他人と共有しないこと
目の形や大きさは人によって異なるので、コンタクトレンズを赤の他人と共有しないようにしてください。
アメリカでは、カラーコンタクト市場は3億ドル(300億円)規模で、コンタクト市場全体の15%を占めているとのこと。それだけに、失明をはじめとした問題が発生しているようです。日本でも扱いは似たようなものなので、くれぐれもカラーコンタクトレンズの使用には気をつけてください。
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