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GoogleのAIは古代ギリシャの碑文解読をものの数秒で行うことができるように


Google傘下の人工知能開発企業DeepMind病気の予測エネルギー効率化などさまざなまな分野でAIアルゴリズムを役立てています。2019年10月15日(火)、新たにDeepMindは古代の碑文から「抜け落ちた記述」を予測するアルゴリズムを開発したと発表しました。人間の専門家が2時間かける作業を、AIはものの数秒で完了するとのことです。

[1910.06262] Restoring ancient text using deep learning: a case study on Greek epigraphy
https://arxiv.org/abs/1910.06262

Restoring ancient text using deep learning: a case study on Greek epigraphy | DeepMind
https://deepmind.com/research/publications/Restoring-ancient-text-using-deep-learning-a-case-study-on-Greek-epigraphy


歴史をひもとき古代の社会や文化を理解するには、巻物や遺跡に書かれた文章を読み解く必要があります。しかし、このような文書は意図的に破壊されたり、時間の経過と共に風化しバラバラになったりで、不完全な状態で残されていることが多いもの。碑文研究の分野では専門家がこのような不完全な文書の解読を試みていますが、作業は非常に複雑で時間を要するものとなります。

そこでDeepMindのYannis Assael氏が率いる研究チームは「Pythia」を使ったニューラルネットワークを訓練し、300万語を含む3万5000もの遺物から、文脈・文法・文章のレイアウトといった言語パターンを学ばせました。言語パターンを学んだPythiaは「空白」の存在する碑文を与えられると、穴埋めの候補を20ほど提示できるようになったとのこと。この技術により、専門家はゼロから空白を埋める言葉を考えるのではなく、Pythiaの提示した選択肢から適切なものを選べるようになります。

実際にPythiaの能力を確かめるべく碑文の穴埋めテストを行ったところ、人間に比べてPythiaは30%も間違いが少ないことが示されました。また、50個の穴埋めを行うために人間は2時間を要しますが、Pythiaはほんの数秒で完遂することができたとのこと。


碑文を完全に解読するにはニューラルネットワークだけでなく人間の手をまだ必要とする段階ですが、研究に参加したオックスフォード大学のテア・ソマーシールド氏は「碑文は古代の世界の宗教や社会、経済といったあらゆる側面について教えてくれるものであり、この功績は非常に大きなものです」と述べています。人間の専門家は長い文章を解読する際に細部を見落としてしまいがちですが、新しいアルゴリズムはこのような文章の解読に高い成功率を発揮するとみられています。

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in ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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