古代ローマの遺跡から発見されたペンに彫られていた「ジョーク」とは?
ジョークは人の心をなごませ、楽しい時間を作りだすことができる素敵なもの。人々が想像する以上に古くからジョークは生活に楽しみをもたらしていたようで、なんと2000年近くも昔の古代ローマの遺跡から、「友人に送るジョーク」が刻まれた鉄筆が発見されたと報告されています。
‘I went to Rome and all I got you was this stylus!’ Rare inscribed Roman writing implement discovered beneath Bloomberg’s European HQ goes on display | MOLA
https://www.mola.org.uk/blog/i-went-rome-and-all-i-got-you-was-stylus-rare-inscribed-roman-writing-implement-discovered
‘Roman Biro’ – complete with joke – found at London building site | UK news | The Guardian
https://www.theguardian.com/uk-news/2019/jul/27/joke-on-roman-souvenir-bloomberg-building-site-city-of-london
ジョークが刻まれた鉄筆が発見されたのは、ロンドンの金融街にある古代ローマの遺跡です。この遺跡は、経済・金融情報の配信事業を手がけるブルームバーグの新社屋建設予定地を掘削したところ発見されたもので、ロンドン考古学博物館(MOLA)などによる発掘調査が行われてきました。
遺跡から発掘されたものの中には古代ローマ時代の生活を伝える貴重な書字板などが含まれ、借用書や忠告の手紙、ちょっとした連絡事項などさまざまなものが含まれています。そんな書字板に文字を刻むために使われたのが鉄筆も遺跡から発掘されていますが、さらにその鉄筆にも文字が刻まれているばかりか、内容が友人にあてたジョークだったことが判明したとのこと。
遺跡からは合計で200本以上の鉄筆が発見されたそうですが、記事作成時点で文字が刻まれていると判明したのは1本だけ。文字が刻まれた鉄筆が使われていた年代は西暦70年ごろだそうで、実に2000年近い歴史を持つものとなります。
以下の画像が発見された鉄筆だそうで、長さは約13cmと現代のペンとそう変わりません。腐食のせいで文字は読みづらい状態になっていましたが、博物館学芸員による処理が行われた後で、元オックスフォード大学の古典学者であるロジャー・トムリン氏によって解読・翻訳作業が行われました。
解読の結果、鉄筆には「私はあの都市からやって来ました。私を思い出してくれるよう、あなたに先の尖ったお土産を持ってきました。 もっと私の運が良かったら、この長い道のりと空っぽの私の財布に見合ったもっとたくさんのお土産をあげられたのに」という言葉が4つの面に分けて刻まれていたとのこと。
これはプレゼントの送り主からもらい手にあてられたジョークであり、送り主はこの鉄筆が安いプレゼントであることを暗に認めています。その一方で、「この旅路が短くて財布に余裕があれば、本当はもっとたくさんプレゼントをあげるつもりだったのですよ」とジョークをしたため、もらい手の友人に笑いを提供していると研究チームは述べました。
研究チームによると、この文章で書かれている「都市」とはおそらくローマであるそうで、この鉄筆はローマから当時のロンドンまで人々のつながりがあったことが示唆されているとのこと。ローマ時代の遺物についての専門家であるマイケル・マーシャル氏は、「これはローマ時代のロンドンにおける、最も人間的な遺物の一つです。謙遜と機知に富んでいて、書いた人物のセンスをうかがわせます」とコメントしました。
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