4500年前の古代エジプトの酵母を使ってパンを焼いた猛者が登場、実際に食べてみた味とは?
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物理学者であり「Xboxの父」と呼ばれるゲームデザイナーでもあるSeamus Blackley氏が、4500年前の酵母菌を使って「古代パン作り」を行いました。4500年前のサワードウを再現した方法とその味が、Twitterで公開されています。
Two weeks ago, with the help of Egyptologist @drserenalove and Microbiologist @rbowman1234, I went to Boston’s MFA and @Harvard’s @peabodymuseum to attempt collecting 4,500 year old yeast from Ancient Egyptian pottery. Today, I baked with some of it... pic.twitter.com/143aKe6M3b
— Seamus Blackley (@SeamusBlackley) 2019年8月5日
普段、Blackleyさんは酵母を使ったパン作りを行う際に、スーパーで酵母を買う代わりに小麦粉と水を混ぜたものを森の中に置き微生物を集めるという方法を取ります。しかし、古代と現代では全く環境が異なるため集まる微生物も違うはず。このため古代パンを焼くためにはまず古代の菌を手に入れる必要があります。
幸運なことに、酵母の多くは長期にわたって休止状態を保つことができます。そこで、Blackleyさんはエジプト学者のSerena Loveさん、微生物学者のRichard Bowmanさんの助けを借り、ハーバード大学付属のピーボディ考古学・民族学博物館に行って「パン作り」を行いました。博物館に展示されている陶器から酵母を採取できると考えられたためです。
これが実際に古代の陶器から酵母を採取する作業の様子。陶器に液体を注入し、液体の中から酵母を取り出す方法が取られ、陶器に損傷を与えることなく酵母を得られたとのこと。
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ビール作りやパン作りに使われた陶器の内側には食べ物が入れられたはずなので、ここに酵母が存在すると考えられました。
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得られた酵母のサンプルは調査を行うために研究室に送られる一方で……
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Blackleyさんはサンプルの1つを使ってパンづくりを開始。
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現代の小麦粉は古代のものと異なるため、古代パンには大麦とヒトツブコムギ、そしてコーラサンコムギという3種から構成される小麦粉が使われました。
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パン作りに使う道具や容器はオートクレーブ滅菌し、大麦とヒトツブコムギからなる小麦粉も殺菌処理。
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紫外線を使った殺菌も行われました。
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その後、採取したサンプルを小麦粉に加えたとのこと。
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酵母は数週間にわたって慎重に育てられました。
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一週間後、サンプルを加えた小麦粉が発泡していたため、いよいよパン作りへ。
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水とオリーブオイルを混ぜたものの中に発酵種を加えます。
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この発酵種の香りは「想像していたと違った」とBlackleyさんは述べています。
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そして通常のパン作りの要領で作られたパン種はこんな感じ。左側の大皿の中で、パン種がふっくらと膨らんでいるのがわかります。もちろん、古代の人々は機械のオーブンを使わなかったはずですが、ここは現代の方法にのっとったそうです。
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焼けたパンがこれ。表面に書かれている記号のようなものはヒエログリフの「T」だそうです。香りは「現代のサワードウよりも甘くて濃厚」で、かなり違いは大きいとのこと。
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断面はこんな感じ。
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味は「パンおたくでなくとも古代パンか現代パンか容易に見分けがつく」ほどの差で、「アロマもフレーバーも信じられないほどに素晴らしい」とBlackleyさんは述べました。
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ただし、サンプル分析の結果はまだ出ておらず、研究者が行っているDNAシーケンシングの結果が出て初めて酵母が4500年前のものだと示されるそうです。それまでは採取したものが比較的新しい酵母である可能性も省かれていないとのこと。
なお、「お腹を壊すのでは?」というコメントに対してBlackleyさんは「世界が産業化する前の微生物は現代よりずっと安全だった」と述べ、加えて、パンを焼く作業そのものが殺菌処理となっていると考えています。「だからこそ人類は今も生きている」とBlackleyさんは語りました。
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