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交通量を20年で劇的に削減し街をよみがらせ人口増加&出生率までアップさせた都市がとったアプローチとは?


交通渋滞や車の排出する温室効果ガスは大きな問題となっており、多くの都市が交通量の削減に取り組んでいますが、有効な対策を打ち出のは難しいもの。しかし、スペイン・ガリシア州の南西部にあるポンテベドラという都市では、厳しい罰則や莫大なコストを費やすことなく、交通量を20年間で大幅に削減させることに成功ました。困難を可能にしたポンテベドラではどのようなアプローチが取られていたのかが、まとめられています。

Spain's Happy Little Carless City - Reasons to be Cheerful
https://reasonstobecheerful.world/spains-happy-little-carless-city/

◆1:地域の傾向を知る
一部の地域では特定の日に運転する場合に「運転料」を請求したり、車両の通行を完全に禁止したりといった政策で交通量の削減を目指していますが、必ずしも全ての地域で同様の施策が実現可能なわけではありません。まずは改革を行いたい地域の政治的な傾向や住人の性質を把握し、現実的な範囲で施策を行っていく必要があります。

ポンテベドラは長年にわたって保守政党が優勢だった地域ですが、1999年に左翼政党所属のミゲル・アンショ・フェルナンデス・ローレス市長が政権を握って以降、交通量削減に向けて舵を切りました。ローレス市長は依然としてポンテベドラに保守的な思想が根強いことを考え、最初に駐車規制を実施した際には「地元企業は規制の対象外にする」といった譲歩を行い、少しずつ交通量削減を実現してきました。「私たちは壮大なプロジェクトに着手したのではなく、自分たちで把握できる範囲のことを実行しました」と、ローレス市長は述べています。

以下の画像は上が交通量削減前のポンテベドラ中心部、下が交通量削減後の同じ場所を撮影したもの。ポンテベドラ中心部にほとんど車がないことは、政治傾向にかかわらず多くの住人から歓迎されています。一部の人々はローレス市長の左翼的な政治思想には共感できなくても、現実に引き起こされた変化を評価してローレス市長に投票してくれるとのこと。


◆2:車の通り抜けを阻止する
ポンテベドラでは長年にわたって大通りの混雑が問題視されており、時には3万台もの車で道路が埋まることもあったそうです。しかし、実はこれらの車の多くは「別の場所へ行く途中でポンテベドラを通過している車」でした。そこでポンテベドラは車の通り抜けを阻止するため、「通り抜けできずに町の端でループする」道を多く設計しました。ポンテベドラの南から北へ通り抜けようとした車が、結局ポンテベドラの南側へ抜けてしまう構造にすることで、通り抜けする車の侵入を防いでいるとのこと。

◆3:二重駐車を不可能にする
ポンテベドラの道はほとんどが片側一車線であり、路上駐車すると車線が塞がってしまうため、路上駐車したい車はところどころに作られた停車場に駐車する必要があります。ポンテベドラでは路上駐車が完全に禁止されているわけではなく、専用の停車場では「15分間」という制限付きですが、自由に駐車することが可能。これにより、タクシーが乗客を待ったり、配達用トラックが荷物を降ろしたりすることができるようになっています。

◆4:車を収容する大規模駐車場を提供する
車のない都市を目指すとはいえ、多くの住人や外部からの訪問者にとって車を使わないことは困難です。そこで、ポンテベドラでは町の外側や地下に1600台以上が収容できる広大な無料駐車場を建設し、車の所有者がそこに車を置き、町の内部へは歩いて入ってこられるようにしました。もちろん、当初から全てのドライバーが無料駐車場を歓迎したわけではないものの、ポンテベドラ自体が25分で横断できる程度の広さであることから、ほとんどの人々は無料駐車場に車を置くようになりました。

by Pok Rie

◆5:「道路は歩行者優先」というメッセージを打ち出す
ポンテベドラの一部地域では、歩道と車道の区別をなくすという施策をとっています。これによって歩行者が車と同じ道を歩く形になり、「道は歩行者優先であり、車は歩行者に従って進むべきである」という明確なメッセージを示しているとのこと。また、横断歩道の部分は歩道と同じ高さになっており、車が通行する際は段差を乗り越える必要があるなど、「車はポンテベドラにとって非在来種だ」というメッセージを伝えています。

◆6:歩くことを交通機関の一種として扱う
ポンテベドラが歩行者向けの都市であることを示す一例が、「地下鉄の路線図のように記されたロードマップ」です。市内のどこへ行くのにどれほどの距離があるのか、どれほどの時間がかかるのかといった情報を示すこのロードマップは、ポンテベドラが歩行者にとって魅力的な都市であることを意味しています。


◆7:地元のビジネスオーナーたちを味方につける
多くの場合、小売店主などは車の削減に反対しているとみられがちですが、ポンテベドラのような小都市では、それぞれの店舗に赴いて行政の意思を訴え、話し合うことが可能です。ローレス市長は「商業分野の人々は車の削減などの政策に反対しがちだという考えがありますが、私たちは必ずしもそうではないと主張します。少数の人々から反対があるかもしれませんが、反対理由は個人的または政治的思惑に過ぎません」と述べ、少数の反対意見を大勢の総意だと勘違いするべきではないと主張しました。

◆8:ポジティブな影響を広く訴える
当初は多くの反対があった交通量削減の施策ですが、ローレス市長は交通量が減ったことによるポジティブな影響を広く宣伝しています。「歴史が多く残る中心部は死んでいました」「麻薬と車にあふれ、危険地帯になっていました。都市は衰退して汚染され、多くの交通事故があり、人々は機会があればポンテベドラを去っていきました」とローレス市長はかつての状況を述べましたが、記事作成時点では多くの子どもを育てる家庭がポンテベドラに集まっているとのこと。

スペイン全体では出生率の低下が問題となっている一方、ポンテベドラは20年前に交通量削減の施策が始まってから、8%も出生率が増加しました。また、ポンテベドラの人口は1998年から1万人以上増加し、ガリシア地域で最も急速に成長した都市となっています。さらに、犯罪率の減少や温室効果ガス排出量の削減といった効果もみられたそうで、交通量削減の施策は多くのメリットをポンテベドラにもたらしたといえます。「都市を機能させるのに必要な車の量は少ないのです」と、ローレス市長は述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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