銃乱射事件が発生する地域を分析して判明した「4つの共通点」とは？

by Annie Spratt

アメリカでは頻繁に銃乱射事件が起こっていますが、「銃乱射事件が起こる地域の特徴をつかむことができれば、将来的な犯罪の予測に役立つのではないか？」ということで、トレド大学の博士研究員であるStephen Markowiak氏は、過去に大きな銃乱射事件が発生した地域を分析することで、これら地域の「共通点」を割り出しました。

Social Determinants of Health Identify Communities at Risk for Mass Shooting Events - Journal of the American College of Surgeons
https://www.journalacs.org/article/S1072-7515(18)30798-1/fulltext

Communities With Mass Shootings Have 4 Things in Common, According to Research
https://www.sciencealert.com/research-has-found-that-communities-with-mass-shootings-have-4-things-in-common

Markowiak氏の研究チームは、FBI、アメリカ合衆国国勢調査局、米国疾病管理予防センター、州ごとの銃規制など、さまざまな情報ソースをもとに分析を実施。調査対象となった銃乱射事件は「死者が4人以上いること」「泥棒やギャングの犯罪といった動機の明確なものを除く」といった条件を満たしたものに絞られました。

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研究者は2005年から2018年までに155件の銃乱射事件があったことを割り出した後に、このデータを地域の社会保健的な要因と照らし合わせました。結果としてMarkowiak氏は、大量銃乱射事件が発生する地域に4つの共通点を見いだしています。

1つ目の要素は「健康レベルがアメリカの平均よりも低い」ということ。健康レベルの低い地域は銃乱射事件のリスクが高く、特に都会はこの傾向が露骨だそうです。健康レベルについてはメンタルヘルスの専門家にかかれるかどうかが1つの指標となっていますが、特に都会のコミュニティは「専門家の数と需要が釣り合っていない」とMarkowiak氏。専門家1人あたりが抱える患者の数の中央値はアメリカ全体で490人ですが、都会ではこれよりも高い数字が示されたとのこと。Markowiak氏は、プライマリ・ケアやメンタルヘルスの専門家の数が不足しているという現状について指摘しました。

また、2つ目の要素として「コミュニティーが閉じられていること」が挙げられています。オープンなコミュニティ、つまり日常的な社会的つながりが多いコミュニティは銃乱射事件のリスクが小さいと示されました。日常的に関わっている人の数はアメリカ平均で13人ですが、銃乱射事件が発生した地域ではこの人数が10.5～11人にまで減少します。

by Priscilla Du Preez

3つ目の要素は、収入の格差が大きい地域、住宅価格が高騰している地域、公共事業が欠けている地域といった、「お金」の要素も銃乱射事件発生の1つの指標です。「人々が医師にかかることができる健康的な空間で暮らし、コミュニティとしての意識を持てば、銃乱射事件は起こりにくくなると示されています」とMarkowiak氏は述べています。

一方で、銃規制との関連性は少し複雑です。まず、研究者は銃規制の厳しい地域は、銃規制が緩い地域よりも銃乱射事件の発生リスクが53％も「高い」ことを明らかにしました。このような地域では全体的な暴力犯罪の発生数自体は少なく、銃乱射事件の発生は「例外」となっていたそうです。ただし、「都会かどうか」「人口密度」「ある年齢層の男性の数」といった特定の要素を考慮すると、「銃規制の厳しさ」と「銃乱射事件の少なさ」が相関関係を持つとのことで、この点については問題が複雑化しているものの、研究者は4つ目の要素を「銃規制が緩いこと」としています。

by stevepb

なお、研究者は、この研究がより多くの研究と議論を行うための出発点であると位置づけており、「銃乱射事件の原因を特定するものではない」と注意を呼びかけています。