NASAが広い可動域を持ちフリーサイズな新型宇宙服「xEMU」を公開
By NASA
人類を再び月面に着陸させる計画である「アルテミス計画」に向け、NASAが新型宇宙服「Exploration Extravehicular Mobility Unit(xEMU)」と「Orion Crew Survival Systems(オリオンスーツ)」を発表しました。
A New Spacesuit for Artemis Generation Astronauts | NASA
https://www.nasa.gov/image-feature/a-new-spacesuit-for-artemis-generation-astronauts
A Next Generation Spacesuit for the Artemis Generation of Astronauts
https://www.nasa.gov/feature/a-next-generation-spacesuit-for-the-artemis-generation-of-astronauts
Orion Suit Equipped to Expect the Unexpected on Artemis Missions | NASA
https://www.nasa.gov/feature/orion-suit-equipped-to-expect-the-unexpected-on-artemis-missions
NASA unveils flexible, one-size-fits-all space suits
https://phys.org/news/2019-10-nasa-unveils-flexible-one-size-fits-all-space.html
かつて有人宇宙飛行による月面着陸を成功させたアポロ11号の時代の宇宙服は、可動域の関係から「月面で歩く」ことができず、「月面でスキップ」して移動しました。しかし2019年10月16日にNASAが発表した新型宇宙服「xEMU」は、腰・腕・脚の各部位にベアリングシステムを搭載しており、可動域が格段に向上しているとのこと
腕をぐるぐる回したり、しゃがむことも可能。
By NASA
さらに、xEMUの前腕部などの各部位は取り外して交換することもできます。
さまざまな機能も強化されています。xEMUのバックパック部分に搭載されたポータブルライフサポートシステムは呼気に含まれる二酸化炭素やその他の有毒成分、臭気、湿気をスーツ内部から除去し、温度調節やパフォーマンスの監視などが可能。通信システム周りの再設計も行われ、現在使用されている蒸れる上にマイクの位置がズレることもあったマイク付きヘッドセットに代わって、胴体上部に複数の音声作動マイクを埋め込んだシステムが搭載されたとのこと。さらに、xEMUスーツ自体はマイナス156.6度の極低温から121.1度の高温まで耐えられるそうです。
by NASA HQ PHOTO
また、xEMUはフリーサイズとなっており、身長・体型の異なる男女ともに着用可能。宇宙で長期にわたって生活を続けると地上とは異なるサイズの宇宙服が必要になるケースもあったとのことですが、フリーサイズのxEMUなら体型が変化しても問題が生じません。2019年3月には「国際女性デー」を記念して国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた女性宇宙飛行士が史上初となる「女性のみの船外活動」を行うという企画がありましたが、Mサイズの宇宙服が足らずに中止するという事態が生じていました。今後の船外活動にはxEMUが使用されるので、同様の事態は起こらない見込みです。
史上初の女性のみのISS船外活動、合う宇宙服なく断念へ 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/3217565
もう1つの新型宇宙服である「Orion Crew Survival Systems(オリオンスーツ)」は、オリオン宇宙船の内部や、宇宙船の打ち上げ時や大気圏再突入時に使用する船内向けの宇宙服。オリオンスーツはフリーサイズではなくオーダーメイドの宇宙服で、船内向け宇宙服に比べて腕や脚の可動域が改善し、耐久性が向上したとのこと。さらに、隕石(いんせき)が宇宙船の船体に穴を開けたときに備えて、最大6日間の生命維持が可能となっています。
by NASA HQ PHOTO
NASAはアルテミス計画を2024年までに実行予定だと発表しています。
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