地球外生命発見を目指した土星の衛星探査ミッション「ドラゴンフライ」をNASAが発表
アメリカ航空宇宙局(NASA)が土星最大の衛星「タイタン」に向けて探査機を送り込むというミッション「ドラゴンフライ」を公式に発表しました。
NASA's Dragonfly Mission to Titan Will Look for Origins, Signs of Life | NASA
https://www.nasa.gov/press-release/nasas-dragonfly-will-fly-around-titan-looking-for-origins-signs-of-life
NASA's new mission, Dragonfly, will explore Saturn's moon Titan - CNN
https://edition.cnn.com/2019/06/27/world/nasa-dragonfly-titan-mission-scn-trnd/index.html
土星の衛星であるタイタンは、木星の衛星であるガニメデに次ぐ太陽系で2番目に大きな衛星で、月の1.48倍の半径と1.8倍の質量、さらには濃い大気を持っています。
今回NASAが発表したミッション「ドラゴンフライ(英語でトンボの意)」は、ミッション名と同名の探査機「ドラゴンフライ」をタイタンに送り込むというもの。ドラゴンフライ探査機は8つのローターを持つ全長およそ3メートルの無人機で、垂直離着陸飛行が可能とのこと。
NASAはドラゴンフライが実際にタイタン上を探査するイメージムービーを公開しています。
New Dragonfly Mission Flying Landing Sequence Animation - YouTube
ドラゴンフライはタイタン上空からパラシュートをつけて落下します。
パラシュートを切り離すとタイタンは飛行モードに切り替わり、着陸場所に飛んでいきます。最初の着陸場所となるのはタイタンの赤道にある「シャングリラ」と名付けられた砂丘地帯とのこと。
着陸後、調査用サンプルを回収して……
また新たな探査場所に向かって飛行します。着陸後は2年半にわたり、タイタンを探査する予定です。
タイタンの探索は2005年にも探査機カッシーニに搭載された探査プローブ・ホイヘンスによって行われており、液体メタン・エタンでできた湖・海・雨や、氷の表面に炭化物が付着してできた砂による砂漠などの存在が報告されていました。また、地中には水や有機物が存在することが明らかになっており、原始生命体が誕生している可能性も指摘されています。
ドラゴンフライはタイタン上のさまざまな気候・地質の場所からサンプルを収集しながら、「セルク」と名付けられたクレーターを探査する予定です。セルクはかつて隕石がタイタンに衝突してできたクレーターで、炭素や窒素、そして衝突の際に放出されたエネルギーという生命の誕生に必要な材料を全て兼ね備えたスポットです。
ドラゴンフライの打ち上げは2026年の予定ですが、タイタン到着は2034年になる見通しです。
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