Appleが香港の人々を危険から守るアプリの配信停止を撤回後、再度配信停止へ
By Kevin Bhagat
香港の人々を危険から守るべく開発されたという地図アプリサービス「HKmap.live」について、Appleが「違法活動推奨アプリである」としてApp Storeでの配信を停止したのは10月3日のこと。これに対して批判があり、翌日に配信停止は撤回されましたが、改めて「配信停止撤回」が撤回され、HKmap.liveのApp Storeでの配信が停止されることになりました。
Apple's Tim Cook Defends Decision to Remove Hong Kong Maps App - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-10-10/cook-defends-decision-to-remove-hong-kong-maps-app-in-memo
HKmap.liveは利用者が現地警察が活動している場所を確認できるネットサービスです。HKmap.liveはウェブ版の他にも、iOSアプリなどが配信されていました。
HKmap.live 即時地圖 - Hong Kong Live Map
https://hkmap.live/
しかし、2019年10月3日、Appleは「あなたのアプリは違法な行為を推奨する、または可能にするコンテンツや機能が含まれています。具体的には、アプリはユーザーが法的執行を回避するのを許可していました」と制作者に通知して、HKmap.liveのApp Storeでの配信を停止しました。
Appleが香港の人々を危険から守るアプリを「違法な活動を推奨している」として禁止する - GIGAZINE
by Pexels
このAppleの決断に対して、多数の非難がAppleに寄せられたようで、AppleがHKmap.liveの配信を停止したその翌日、「配信停止が撤回された」とHKmap.liveが発表します。
Thanks everyone, @Apple finally made the right decision. Will update later as things are going crazy in #HK now. pic.twitter.com/PsnNry0V21
— HKmap.live 全港抗爭即時地圖 (@hkmaplive) October 4, 2019
配信停止の撤回を受け、10月9日、中国共産党の機関誌である人民日報が「Appleは香港の暴徒が暴力行為に参加するのを手助けしているのか?」と題して、現地警察が活動している場所を示すHKmap.liveが現地警察の位置を特定して警官を襲撃しているのに用いられているという記事を公開。
Is Apple helping HK rioters engage in more violence? - People's Daily Online
10月9日、Appleは「撤回を撤回」して、HKmap.liveのApp Storeでの配信を停止しました。この決定に関して、Appleは「App Storeは安全で信頼できるアプリ配信サービスとして作成されました。香港のサイバーセキュリティ・テクノロジー犯罪部署に確認を行った結果、HKmap.liveは暴徒が警官を襲撃するために用いられたり、犯罪者が周囲に警察がいないことを確認するために用いられていると判明しました」と発表。
Apple removes app used in Hong Kong protests after pressure from China - The Verge
https://www.theverge.com/2019/10/10/20907596/apple-hong-kong-protests-app-removed-china
ティム・クックCEOが自社の従業員に対して、「技術は良いことにも悪いことにも使うことができます。今回、HKmap.liveが警官への襲撃や犯罪などに用いられているという信頼できる情報を受け取りました。こういったアプリは香港の法律に違反するものであり、広域な犯罪行為に利用されているという実態は、明白にApp Storeのポリシーに違反しています」と社内メールを送っていたこともリークされました。
Team, You have likely seen the news that we made the decision to remove an ap - Pastebin.com
https://pastebin.com/dFyftCuZ
Appleに対してHKmap.liveの開発者は「本アプリは犯罪行為を推奨しておらず、Facebookなどのソーシャルネットワークからの情報を集約することを目的としたアプリです。HKmap.liveは『警官が集まっている場所』を示すだけのもので、『警官がいない場所』を教えてくれるものではありません」といった反論をTwitter上に投稿しています。
5. Most of the contents are user-generated, and we allow users to down vote for moderator review. Moderator will delete contents that "solicit, promote, or encourage criminal activity". Repeated attempt will be banned.
— HKmap.live 全港抗爭即時地圖 (@hkmaplive) October 10, 2019
ティム・クックCEOの社内メールのリーク情報が「事実だ」と保証したDaring Fireballは、「1.HKmap.liveが警官襲撃に使用された具体的な事例とは?」「2.HKmap.liveが犯罪者によって警官が周囲にいないことを確認されるために使われたという具体的な事例は?」「3.HKmap.liveが違反しているという香港の法律はどれですか?」という、Appleの公式発表やティム・クックCEOの社内メールが具体性を欠いていることを追求しています。
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