Appleが香港の人々を危険から守るアプリを「違法な活動を推奨している」として禁止する

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香港では逃亡犯条例改正案に端を発するデモが数カ月にわたって継続しており、デモを抑え込もうとする警察との激しい衝突が繰り返されています。そんな中、「香港での危険な警察の活動を通知して、人々が安全な場所へ移動できるようにする」ために開発されたiOSアプリが、Appleによって「違法な活動を推奨している」と判断されてしまい、App Storeでの配信が禁止されたと報じられました。

Here's that hippie, pro-privacy, pro-freedom Apple y'all so love: Hong Kong protest safety app banned from iOS store • The Register
https://www.theregister.co.uk/2019/10/02/apple_hong_kong/

香港におけるデモ隊と警察との衝突は過激化しており、2019年10月1日には警察がデモ隊に対して実弾射撃を行い、18歳の男子高校生が一時重体となるなど、デモ隊は命の危険に直面しています。

香港警察、4カ所で実弾6発発砲 180人以上を逮捕 （写真=ロイター） :日本経済新聞

そんな香港の人々を危険な地域から遠ざけ、安全を確保するために開発されたのがHKmap.liveというウェブサービス。香港における警察の活動を追跡して通知するこのウェブサービスは、iOSアプリも開発されてApp Storeで配信されていました。

ところがAppleはHKmap.liveのiOSアプリ開発者に対し、「あなたのアプリは違法な行為を推奨する、または可能にするコンテンツや機能が含まれています。具体的には、アプリはユーザーが法的執行を回避するのを許可していました」と通知し、App Storeでの配信を停止してしまったとのこと。これに対して開発者は、「Appleは私たちのユーザーが法律を破っており、法的執行を回避すると思っているようですが、それは明らかに違います」と抗議しています。

そもそも香港の法律の下では、香港警察は違法な集会が行われていると判断した地点において青い旗を振り、警察が行動を実行に移す前に解散するよう周囲の人々に通知する義務があるとのこと。HKmap.liveの開発者は、このアプリは警察が行うべき公式のアプローチを採用して拡大し、警察が通知するべきことを市民に知らせているだけだと主張。アプリを使うことにより、法律を守って正当な抗議活動を行う人々が、危険な地域を回避して安全に政府へ抗議することができるとHKmap.liveは述べています。

海外メディアのThe Registerは「Appleが香港の法律に基づいた審査を行ったかどうかは明らかではありません」と述べつつ、Appleは過去にも中国政府の意向に沿った行動をとっている点を指摘。多くの国々でAppleは市民の権利を保護する姿勢で他社との差別化を図っており、少なくともアメリカではFBIの「犯人が所持していたiPhoneのロックを解除しろ」といった命令を拒否するなど、個人のプライバシーや権利の保護を強く打ち出していますが、中国に対しては及び腰となっているようです。

今回のアプリ配信停止は、その直後に警察によるデモ隊への実弾射撃が行われたこともあり、多くの人々に悪い後味を残しているとThe Registerは述べています。また、アプリの開発者と議論することもなく、限定的でおそらく誤った理由によってアプリの配信を停止した点についても、ユーザーの怒りを招いたとのこと。

HKmap.liveの開発者は、「今回の配信停止が検閲的な理由で行われたものではなく、官僚的な決定だったと信じています」「全てのものは悪意のある人によって不正な目的で使われる可能性があります。私たちのアプリは情報を得るためのものであり、違法な行為を推奨していません」と述べています。

香港での抗議活動に対する警察の武力的対応は日々激化しており、中国政府がいつの日か妥協して民主的自由に関する要求を受け入れるのか、それともさらに抑え込みを強めるのかは不透明です。Appleは自社の政治的な立場を明確にしたくないはずですが、香港の人々の安全を確保するアプリを配信停止にすることは、Appleが中国政府寄りであることを示しているとThe Registerは主張しました。

・つづき
Appleが香港の人々を危険から守るアプリの配信停止を撤回後、再度配信停止へ - GIGAZINE

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