メモ

「アジア系学生の入試差別問題」の裁判でハーバード大学が勝訴

by seventyfourimages

アメリカ屈指の名門大であるハーバード大学が「アジア系学生を入試で不利に扱っていた」として学生らから訴えられている問題で、マサチューセッツ州の地方裁判所は「差別はなかった」との判決を下しました。

Federal judge upholds affirmative action at Harvard
https://www.apnews.com/2484445f29a549bfb6e88bac3ea8bde8

Judge Rules In Favor Of Harvard In Affirmative Action Case : NPR
https://www.npr.org/2019/10/01/730386096/federal-judge-rules-in-favor-of-harvard-in-admissions-case

マサチューセッツ州連邦地裁の法廷では、2014年から原告団であるStudents for Fair Admissions(SFFA)とハーバード大学との間で、「アジア系アメリカ人受験生に対する差別的な扱い」の有無や是非について争われてきました。


この問題でSFFA側は、「アジア系アメリカ人受験生は、筆記試験や高校での成績などで白人を含む他の人種・民族の受験生よりも高いスコアを得ていた一方で、パーソナリティスコア(個性や人格など内面に関する評価)において、著しく低く評価されていた」との調査結果を提出しており、アジア人学生に対する差別が行われた証拠だとしています。

ハーバード大がアジア系学生を入試で不利に扱っていたことが明らかに - GIGAZINE


アメリカの司法省もSFFA側の主張を支持しており、2018年7月には当時の司法長官であるジョセフ・セッションズ氏により「ハーバード大学は、人種差別をすることなく入学試験を実施しなければなりません」との声明が発表されていました。セッションズ氏は同時に、司法省と教育省が連名で発布していたアファーマティブ・アクションに関する指針を撤廃し、大学に対して人種を考慮しない入学試験を実施するよう求めています。

一方で、ハーバード大学側はSFFAの主張や資料について「予め固めた、誤った結論に到達するために、危険な誤解に導こうとする、歪曲したデータ解釈であります」との見解を発表し、入学試験におけるアジア系アメリカ人に対する差別は一切ないとの見方を示していました。

by Filippo Diotalevi

また、アメリカの最高裁判所はミシガン州立大学ロースクールが提訴された訴訟問題やテキサス大学オースティン校が被告となった裁判でいずれも「アファーマティブ・アクションは合憲」との判決を下しています。

こうした議論を背景に開かれた2019年10月1日の法廷で、マサチューセッツ州連邦地裁のアリソン・バローズ判事は「いかなる人種差別の証拠も確認されず、アジア系アメリカ人だというアイデンティティが入学試験に不利な影響を与えた事実は見られませんでした」と述べて、原告の訴えを退けました。

バローズ判事は同時に「確かにハーバード大学の入学試験は完璧だとはいえません。人種を念頭に置いた選考は、その手続きにおいて有利にされていないグループに対し、ある程度の不利益の受忍を要求します。しかしこれは、多様性がもたらす全ての利益と、多様性に対する社会の要請によって正当化されるべきです」とも述べて、SFFA側の主張に一定の理解を示しつつも、アファーマティブ・アクションを容認する最高裁判所の判決を尊重する姿勢を明確にしています。

by Rawpixel

ハーバード大学長のローレンス・バコウ氏は「判決は、人種を含めたあらゆる要素を考慮して、全ての学生に豊かで多様性にあふれた教育の場を提供するという本校の趣旨に資するものです」と述べて判決を歓迎しました。

これに対して、SFFAの代表であるエドワード・ブルーム氏は、「我々は裁判所がハーバード大学の差別的な方針を支持したことに深く失望しています」との声明を発表。ブルーム氏率いるSFFAは今後、最高裁判所に上訴する予定だとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ハーバード大がアジア系学生を入試で不利に扱っていたことが明らかに - GIGAZINE

エリート校は裕福な学生だらけ、貧しさの連鎖は続いている - GIGAZINE

大学入試の学力判定方法の問題点と、新たに考案されている能力判定法とは? - GIGAZINE

大学卒業生の3分の2近くが「大学教育について後悔している」という調査結果 - GIGAZINE

AIの先祖である「書類選考用アルゴリズム」もまた人種・女性差別的だったという事実 - GIGAZINE

学費無料で教師不在、生徒同士で教え合うことで考える力を育てる学校「42」 - GIGAZINE

「教師の初年度年収を最低650万円に」など「教師の価値」の議論が2020年米大統領選に向け加熱中 - GIGAZINE

男女を区別して扱わない学校に通うと、子どもはどのように育つのか? - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.