学費無料で教師不在、生徒同士で教え合うことで考える力を育てる学校「42」
By Erik Tjallinks
フランスの教育システムに失望した起業家のXavier Niel氏が約9000万ドル(約88億円)を投資して、パリに設立したコンピュータ専門学校「42」は、募集人数800人に対して応募者が約6万人という大人気の専門学校です。その人気の理由は、教師不在で生徒に主導権が与えられ、生徒同士が助け合いながら問題を解決するといった、独自の指導システムにあるようです。
Born to code? | 42 / born2code
http://www.42.fr/
A School With No Teachers, Where Students Teach Themselves | MindShift
http://blogs.kqed.org/mindshift/2013/09/a-school-with-no-teachers-where-students-teach-themselves/
フランスの若年層の就職率は上昇する気配を見せない一方、IT業界は人材不足に陥っています。42の創設者であるNiel氏は「労働者階級の家庭に生まれた子どもは、労働者階級から抜け出すことはできません。エリートの家庭に生まれればエリート街道まっしぐらです。フランスの教育システムは崩壊しており、毎年20万人の子どもが義務教育を修了せずに社会に出て行きます。私はそのような子どもたちに救いの手をさしのべ、新たなチャンスを与えたいのです」と42を創設した目的を語ります。
By Pablo Flores
42の入学条件は、18~30歳であることだけで、受験料は一切かからず、学歴も問われません。約6万人の応募者から800人の学生を選出するために試験が行われますが、試験内容は知識などを問うテストではなく、「どうやって考えるか?」について重点を置いており、試験期間も4カ月とかなりの長期間。42の教育目的の1つは、義務教育のレールを外れてしまった子どもたちの中から、埋もれている才能を発掘すること。そのため、入学者をじっくり時間をかけて選び抜く必要があるそうです。
42の人気の1つでもある独自の指導システムには教師が存在しません。学生たちは力を合わせて問題を解決することで、学習していくそうです。42のNicolas Sadirac校長は「学生に何かを教えるということはしたくありません。学生に自分自身で問題の解決方法を見つけてほしいのです。なぜなら、我々は学生の将来に起こり得る問題について、全くわかりませんから。クリエイティブな人間を育てるには従来の教育システムの枠を外れる必要があるのです」と他の学校とは違う教育方法に至った理由を説明します
By Saad Faruque
現在、42の入学試験を受けている最中の27歳の男性Omar Marzougiさんは、チュニジアから移住してきた両親を持つ、いわゆる移民の子ども。アフリカのルートを持つ移民の多くはフランスで差別を受けるそうですが、42の受験要項は年齢だけで、学歴や社会的ステータスなどの要素で差別されることはなく、平等な教育を受けられることが応募した理由とのことです。
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