サイエンス

恐竜を滅ぼした「巨大隕石の衝突当日に何が起きたのか?」が判明


恐竜の絶滅は巨大隕石の衝突が引き金だったとされていますが、衝突により何が起きたのかについては具体的に分かっておらず、シミュレーション結果などからおぼろげに推察するしかありませんでした。そんな中、恐竜滅亡の引き金となった隕石の跡として最も有力なクレーターを直接掘り起こす調査により、衝突の直後に何が起きたのかについての詳細が明らかとなりました。

The first day of the Cenozoic | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2019/09/04/1909479116

Rocks at Asteroid Impact Site Record First Day of Dinosaur Extinction - UT News - UT News
https://news.utexas.edu/2019/09/09/rocks-at-asteroid-impact-site-record-first-day-of-dinosaur-extinction/

Scientists Discover New Evidence of the Asteroid That Killed Off the Dinosaurs - WSJ
https://www.wsj.com/articles/scientists-discover-new-evidence-of-the-asteroid-that-killed-off-the-dinosaurs-11568055601

Dinosaur extinction: Asteroid hit with force of 10 billion atomic bombs and deposited ‘hundreds of feet’ of material in hours, new research says | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/science/dinosaurs-extinct-how-asteroid-earth-mexico-research-a9098306.html

メキシコのユカタン半島北部にある直径約160kmのチクシュルーブ・クレーターは、約6604万年前に地球に飛来したとされる隕石の衝突跡です。直径10~15kmの巨大隕石が衝突した際のエネルギーは、広島に投下された原子爆弾の約10億倍に及ぶとされていることから、恐竜絶滅の原因として最も有力な候補となっています。

しかし、いかに強力な衝突だったとはいえ、その際に発生した衝撃や熱だけで地球上の生命の75%が死滅するとは考えられません。そのため、隕石の衝突により巻き上げられた土砂やちりが地球を覆い、寒冷化を引き起こしたことが大量絶滅の直接的な原因だったというのが通説ですが、この説はあくまで推測の域を出ていません。


そこで、テキサス大学オースティン校の地質学者ショーン・グリック教授らの国際研究チームは、メキシコ湾の沖にあるチクシュルーブ・クレーターのピークリングを掘削し、2カ月かけて10フィート(約3m)の長さの岩石コアを採取しました。そして、採取されたサンプルを解析して隕石が衝突した様子を調べました。

グリック教授(右)が岩石コアを採取している様子。


クレーターから採取されたサンプルからは、木炭や土壌菌類のバイオマーカーが発見されました。このことから、研究チームは「衝突の熱により大規模な火災が発生するとともに、それらが津波により押し流されて、隕石の衝突により生じた巨大なくぼみに流れ込んだ」と見ています。火災の範囲は衝突地点から半径900マイル(約1500km)にも及び、津波は500マイル(約800km)離れたアメリカのイリノイ州にまで届くほどの規模だったとのこと。

また、海底にぽっかりと開いたクレーターにはすさまじい勢いで海水や堆積物が流れ込んだことも分かっており、わずか1日の間に約425フィート(約130m)もの地層が形成されたと見られています。この地層の形成速度は、これまで発見されたどの地層の形成速度よりも速いものでした。

しかし、最も大きな発見は「サンプルから見つかったもの」ではなく、「サンプルから見つからなかったもの」の中にあります。というのもチクシュルーブ・クレーターの近辺にある岩石は硫黄を大量に含んでいるにもかかわらず、サンプルには硫黄がまったくといっていいほど含まれていませんでした。このことから、グリック教授らは隕石の衝突によりクレーター付近の岩石に含まれていた硫化鉱物が蒸発し、少なくとも3250億トンの硫黄が大気中に放出されたと見ています。

採取された岩石コアの断面。


大量の硫黄と岩石の蒸気から発生した硫酸塩エアロゾルにより、太陽光の遮断や大規模な気候変動が引き起こされ、長期にわたる地球規模の寒冷化つながったとグリック教授らは推測しています。グリック教授は恐竜が絶滅したいきさつを料理にたとえて、「恐竜たちはまずフライになってから、冷凍されたわけです」と話しました。

また、「本当の殺し屋は隕石ではなく大気だったはずです。恐竜が滅亡するほどの大量絶滅を引き起こせるのは、大気の働きをおいてほかにありません」と述べて、今回の発見がこれまでの通説を強力に裏付けるものだとの見方を示しました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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