Googleが「Android搭載スマホのキャリア通信速度データを提供するサービス」を停止、プライバシー上の懸念が理由か

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インターネットの発展に伴って、SNSなどのプラットフォームを提供する巨大テクノロジー企業が持つ影響力は拡大しています。しかし近年では、そんなテクノロジー企業が握るユーザーデータの保護に関する問題が頻繁に話題となり、ユーザープライバシーを守ることがテクノロジー企業の責務だとみなされています。そんな流れが加速する中で、Googleが「Android搭載スマートフォンの位置に応じたキャリア通信速度のデータ」を、携帯電話事業者などの無線通信キャリアに提供するサービスを停止したと報じられました。

Exclusive: Fearing data privacy issues, Google cuts some Android phone data for wireless carriers - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-alphabet-data-exclusive-idUSKCN1V90SQ

Googleは2017年3月から、「Mobile Network Insights」というサービスを世界中の通信キャリア向けに展開しており、各エリアでのキャリア通信速度や信号強度のデータをマップとして提供していました。このサービスは無料で提供されていて、全世界のスマートフォンのうち75％に搭載されているAndroidから収集されたデータは、通信キャリアにとって非常に貴重なものだったとのこと。

Mobile Network Insightsを見ると、自分たちのキャリア通信がどの程度の地域をカバーしているのか、通信速度が遅くなってしまっている地域はどこなのかを知ることが可能。通信キャリアが通信範囲の拡大に関する意志決定を下すにあたり、Mobile Network Insightsのデータは役立つものでした。

Googleがキャリアに提供したデータは、位置情報や通信速度などのデータ共有を許可したユーザーからGoogleが収集したとのこと。しかし、データは集約されており、個々のAndroidデバイスを識別できない状態で通信キャリアに提供されていたそうです。

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Mobile Network Insightsについてよく知る4人の関係者はロイター通信に対し、Googleは2019年4月にデータプライバシー上の懸念からサービスを停止したと語りました。Googleの広報担当者であるVictoria Keough氏も、Mobile Network Insightsのサービス停止について認めました。

しかし、Keough氏はサービス停止に関する詳細については語らず、製品の優先順位が変化したことがサービス停止の理由だと、ロイターに対して述べました。「私たちはモバイルパートナーが通信品質を改善するプログラムに、集約して匿名化したパフォーマンスメトリックを通じて取り組みました」「私たちのアプリとサービス全体のネットワークパフォーマンスを、ユーザーのために引き続き改善していきます」と、Keough氏はコメントしています。

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GoogleがMobile Network Insightsの停止を決断した今回のケースは、巨大テクノロジー企業がプライバシー上の懸念について非難されるリスクを犯すのではなく、データ共有サービスを諦めた最新の事例だとロイターは指摘。EUでは2018年からEU一般データ保護規則(GDPR)が導入され、ユーザーの同意がない場合やビジネス上の正当な理由がない場合、企業がユーザーデータを共有することを禁じています。

アメリカやヨーロッパにおけるプライバシー保護の機運は、Facebookが大量のユーザーデータをコンサルティング企業に利用された事件により高まりました。議員や民間団体はテクノロジー企業のデータ共有に目を光らせており、FacebookやGoogle、大手携帯電話事業者などは外部企業とのデータ共有を削減しつつあるそうです。

ロイターはデータプライバシー上の懸念が高まっていることから、「ユーザーデータを他の企業と共有することで利益を上げたりサービスを改善したりするシステムを、インターネット企業は綱渡りで改善しようとしています」と述べています。

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ドバイに本拠を置く通信キャリアduの元従業員であるMushil Mustafa氏はMobile Network Insightsについて、「これは最も確かな情報源からの資料だったため、Mobile Network Insights以上に有用なものは得られません」とコメント。しかし、通信キャリアは既にほかの通信速度データ共有サービスに目を向けているそうです。

たとえばFacebookでは、Actionable InsightsというMobile Network Insightsに類似したサービスを展開しています。Actionable Insightsで提供されるデータには、アプリから収集されたユーザーの性別、年齢、その他の特性に関する情報も含まれているとのこと。Facebookの広報担当者であるJoe Osborne氏は、「私たちは人々のプライバシーを守るため、Actionable Insightsのプログラムを慎重にデザインしました」と述べています。

by MOHI SYED