「なぜ私たちはど忘れしてしまうのか?」を科学者が12歳にわかるように説明するとこうなる
by Jon Tyson
「なぜ私は何か言おうとした時に、何を言おうとしたのかを忘れてしまうの?」と12歳のLabibさんから質問を受けて、オーストラリアカトリック大学の発達心理学教授であるPeter Wilson氏が理由を分かりやすく説明しています。
Curious Kids: why do I sometimes forget what I was just going to say?
https://theconversation.com/curious-kids-why-do-i-sometimes-forget-what-i-was-just-going-to-say-116663
誰しも「やろうとしたことを忘れてしまった」という経験を持っているはずですが、このようなど忘れは「友だちとしゃべりながら道を渡る」「スマートフォンを触りながら部屋の中を移動する」といった、同時に複数のことを行う「デュアルタスク」の最中に起こりやすくなります。
私たちの脳は驚くべき能力を備えたコンピューターですが、一方で、一度に使える精神的エネルギーの量は限られています。
脳は発電所のようなもの。発電所は多数の都市にエネルギーを供給することになりますが、都市の中には多くのエネルギーを必要とするものもあれば、エネルギー量が少しでいい都市もあります。これらの都市に限られた適切にエネルギーを配分していくのが発電所の役割です。
by American Public Power Association
脳も発電所と同じくエネルギーをタスクに供給していきますが、脳が持つエネルギーは、年齢とともに大きくなります。小さな子どもよりは青少年、青少年よりも大人の方が大きなエネルギーを持ち、タスクに供給することが可能です。
そして経験を積んだ大人は複数のタスクでエネルギーを共有することにたけていますが、子どもは大人に比べてデュアルタスクが得意でないことが研究で示されています。これは発電所が小さく、大人と同じだけのエネルギーを作り出すことができないためだと考えられています。
自転車にしても、スポーツにしても、料理にしても、練習を繰り返すほどデュアルタスクが可能になります。サッカー選手は会話しながらジャグリングができますが、これは何も考えずともジャグリングができるため、他のことに割く精神的エネルギー量が多くなるからです。
ということで、「なぜ何かを言い出す前に話す内容を忘れてしまうのか?」という質問に対する答えは、「デュアルタスクをしていた可能性が高い」でした。言いたいことと何か他のことを同時に考えていたり、言うべきことを考えながら話を聞くことに集中していたりしたからかもしれません。物事を忘れることは誰にとっても普通であり、同時に複数のことをしている時に頻繁に起こります。
by Ben White
「ど忘れしたら、深呼吸をしてリラックスすると、頭がクリアになって再びエネルギーに満ちてきた時に再び思い出すことができます」とWilson氏はアドバイスしました。
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