「顔識別情報の無断利用でFacebookを訴えても構わない」という判決が下される
By halfpoint
「顔識別情報を無断で使用しているとして、ユーザーはFacebookを訴えてもいい」という判決がアメリカで下されました。
Federal Court Rules Facebook Users Can Sue Company Over Unlawful Use of Face Recognition Technology | ACLU of Illinois
https://www.aclu-il.org/en/press-releases/federal-court-rules-facebook-users-can-sue-company-over-unlawful-use-face-recognition
今回の訴訟「パテル対Facebook裁判」は、イリノイ州の定める「生体情報プライバシー保護法(Biometric Information Privacy Act、BIPA)」にFacebookが違反しているという訴訟で、裁判名は原告側代表のナイメッシュ・パテル氏の名前を冠しています。BIPAは「生体情報の収集にはユーザーの同意を必須とする」という法律で、今回の訴えはFacebookがユーザーの同意を得ずに顔識別情報を収集していたというもの。
2019年8月8日、日本における高等裁判所に相当する合衆国連邦第9巡回区控訴裁判所は「ユーザーの同意なしに顔識別情報を収集し、顔認証技術に活用することは個人のプライバシーと具体的な利益の侵害である」として、「ユーザーは顔識別情報の無断使用においてFacebookを訴えることが可能である」という判決を下しました。アメリカ合衆国の上訴審において、顔認証情報の無断使用によるプライバシー侵害問題に関する判決は今回が初となります。
By BrianAJackson
Facebookは約5400億円という巨額の制裁金が課されましたが、その理由の1つに「顔認証情報に関する情報提供が不十分だった」というものが挙げられています。今回の判決によって、Facebookは制裁金だけでなくユーザーに対する賠償金も支払わなくてはならないという可能性が出たことになります。
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原告側の代理人を務めたアメリカ自由人権協会(ACLU)のレベッカ・グレインバーグさんは「イリノイ州のBIPAは先進的な法律で、州法ではなくアメリカ合衆国全体として推し進めるべきものです。今回のように、企業がユーザー側の合意を得ることなくプライバシーを侵害した場合には、すぐにでも訴えるべきです」とコメントしています。
ACLUは今回の訴訟の判決を全文公開しています。
Patel v. Facebook Opinion | American Civil Liberties Union
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