AppleがiPhone・Apple Watchを用いた「認知症検出システム」の研究を行っている
By photobac
Appleが製薬会社のイーライリリーとヘルスケアベンチャー企業のEvidationと共同で、「iPhoneやApple Watchから得られた生体データを活用して初期の認知症を検出する」という研究を発表しました。
Developing Measures of Cognitive Impairment in the Real World from Consumer-Grade Multimodal Sensor Streams
https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3292500.3330690
Apple, Eli Lilly studying if iPhones, Apple Watches can spot dementia
https://www.cnbc.com/2019/08/07/apple-eli-lilly-studying-if-iphones-apple-watches-can-spot-dementia.html
New Study Aims to Determine Whether iPhone and Apple Watch Can Detect Early Signs of Dementia - MacRumors
https://www.macrumors.com/2019/08/07/study-apple-watch-iphone-dementia-detection/
今回の研究はApple、イーライリリー、Evidationの合同研究となっており、研究チームは3社の社員がそれぞれ5人ずつ、合計15人で構成されています。今回の研究の目的とは、スマートデバイスから得られた生体データによって認知症の初期症状を検出するというもの。研究チームは、31人の軽度認知障害患者(そのうち24人は軽度認知障害、7人は軽度アルツハイマー病)と対照群として非認知症者82人にiPhone 7 Plus、Apple Watch Series 2、スマートキーボード付きの10.5インチ iPad Pro、睡眠トラッキング製品Beddit Sleep Monitorを支給し、それらのデバイスを用いて自由に生活してもらい、生体データを計測し続けました。
12週間の実験期間終了後、得られたデータはトータルで16TBにも上ったとのこと。それらの生体データを解析すると、タイピング速度の低下や朝起きて本格的に歩行を開始した時刻の遅れ、日中の休息時間の増加、1日に受信したメッセージの数の減少など、軽度認知障害患者にはさまざまな傾向が見られることが判明しました。
By Rawpixel
しかし、論文では軽度認知障害患者と非認知症者の間の生体データの有意な差を示す一方で、EU一般データ保護規則(GDPR)などに遵守する必要があるため、プライバシー上の問題があるデータは使用できなかったとしており、研究チームは「確固たる結論のためには、さらなる調査が必要だ」と記しています。
世界保健機関(WHO)によると、世界で約5000万人が認知症を患っており、毎年約1000万人が新たに認知症になっています。今回の研究は認知症を早期発見することによる症状の管理と生活の改善につながると期待されています。
・関連記事
Apple Watchが交通事故発生時に被害者の通報より早く緊急連絡を済ませる働きぶりを見せる - GIGAZINE
Apple Watchの心電図機能が再び人命救助、リリースから1週間でイギリス人ユーザーの命を救う - GIGAZINE
またもやApple Watchに命を救われる事例が登場、ECGアプリがヨーロッパでリリースされてわずか1週間で - GIGAZINE
Apple Watchがまたも人命を救う、転倒検出機能が気を失って顔面流血のおじいさんの早期発見に貢献 - GIGAZINE
Apple WatchやFitbitのような運動量を測定するフィットネストラッカーは正確なのか? - GIGAZINE
・関連コンテンツ