2019年08月05日 10時30分乗り物

ジェットエンジンで自由に空を飛び回れる「フライボード」でドーバー海峡の横断に成功

2019年8月4日、フランス人の発明家であるフランキー・ザパタ氏が、自身が発明したジェット推進のホバーボード「フライボード」でフランスからイギリスまでの22マイル(約35.4km)を飛行し、ドーバー海峡の横断に成功しました。

Franky Zapata crosses Channel by hoverboard at second attempt | UK news | The Guardian
https://www.theguardian.com/uk-news/2019/aug/04/franky-zapata-crosses-channel-by-hoverboard-at-second-attempt

ザパタ氏の発明したフライボードは、ジェットエンジンを搭載した機械の上に立ったまま空を自由に飛び回ることができるという乗り物。2019年7月にはフランスの建国記念日を祝う目的で、ザパタ氏がフライボードでパレードの上空を飛び回りました。

空を自由に飛び回るフライボードがフランスの建国記念日を祝うパレードに登場 - GIGAZINE

飛行機が初めてドーバー海峡を横断してちょうど110年となる2019年7月25日に、ザパタ氏はフライボードによるドーバー海峡横断にチャレンジしました。しかし、ザパタ氏が燃料補給のために船に着陸しようとしたところ、海峡を吹く強い風にあおられ、バランスを崩して失敗。2019年8月4日の朝に2度目のチャレンジを行い、見事成功しました。

実際にザパタ氏がドーバー海峡横断チャレンジに成功する様子を、海外メディアのThe Guardianが以下のムービーで公開しています。

French inventor crosses Channel by hoverboard - YouTube

フランス北部・サンガットの海岸からフライボードで飛び立つザパタ氏。フライボードには5つのジェットエンジンがついていて、手元にあるレバーで推進力と姿勢制御をコントロールします。また、バックパックには10分間継続飛行できるだけの量のケロシンが燃料として積まれているそうです。

ものすごいスピードで小さくなっていくザパタ氏を、多くの見物人が海岸から見守ります。ザパタ氏のチャレンジはフランス中で注目されていて、パリのシャンゼリゼ通り沿いには特大の中継モニターが設置されたそうです。

ザパタ氏は3台のヘリコプターに誘導されて、海上15～20mの高度を維持しながら、最高時速177kmに達するほどのスピードで飛び続けました。燃料はおよそ10分ほどしかもたないため、ちょうど中間に当たる部分で船に一度着陸。燃料を補給したらザパタ氏は再びイギリスに向かって飛びました。なお、7月の反省を生かして、補給船の着陸ポートをより大きくし、フライボードの開発に出資しているフランス軍の軍艦が常に監視していたとのこと。

チャレンジに成功したザパタ氏によると、フライボードは飛行中でも踏ん張る必要があるので、太ももへの負担がすさまじいとのこと。さらに飛行中は体全体が風の抵抗を強く受けるため、姿勢制御が非常に難しいそうで、ザパタ氏は「最初は風の抵抗を楽しんでいましたが、それによって受ける痛みは考えていませんでした」と語りました。なお、ザパタ氏はフライボードの開発に3年の月日を費やし、自宅で初めて飛行実験を行った際にはジェットエンジンのタービンで指を2本失ってしまったとのこと。