Googleマップにバスの遅延情報や公共交通機関の混雑状況を表示する機能が追加される
by Alex S. Transport Photography
Googleは2019年6月27日、Android・iOS版のGoogleマップアプリに「バスの遅延情報」および「公共交通機関の混雑状況」を表示する機能を追加したと発表しました。これまでも電車の運行に問題が発生した場合に通知する機能は搭載されていましたが、新機能では、バス会社から正式なアナウンスがない場合でも、AIを用いてバスの遅延を予測するとのことです。
Grab a seat and be on time with new transit updates on Google Maps
https://www.blog.google/products/maps/grab-seat-and-be-time-new-transit-updates-google-maps/
Google AI Blog: Predicting Bus Delays with Machine Learning
https://ai.googleblog.com/2019/06/predicting-bus-delays-with-machine.html
Google will now tell you how crowded your bus or train is likely to be - The Verge
https://www.theverge.com/2019/6/27/18761187/google-maps-transit-crowded-delays-predictions-train-bus-subway
公共交通機関の利用は街中を移動するいい選択肢の一つですが、予期せぬ遅延や恐ろしいほどの混雑は大きなストレスとなってしまいます。そこでGoogleはGoogleマップの新機能として、周辺の交通状況によって遅延しやすいバスのリアルタイム遅延通知や、電車などの車内における混雑予測機能を追加しました。
新たなバス遅延通知機能では、ルート検索した際にバスが遅延していると予測される場合、ルート表示画面に「8 min traffic delay(8分の遅れ)」といった風に遅延状況が表示されます。
電車は他の乗り物から運行状況に影響が及びにくいため、遅延する場合は事故や点検などのイレギュラーな事態がほとんどです。そのため、運行業者から公式にアナウンスされることが多く、ユーザーも遅延状況が簡単に把握できます。一方で他の車などと一緒の道路を走るバスにおいては、交通状況や信号待ちなどで遅延が発生しやすい一方で、正式な遅延状況を入手することが困難です。
以下の画像はシドニーにおけるバスの遅延と、車やバスの移動距離について表したもの。黒い点がバスの本来の運行スケジュールを表しており、4時3分の時点でスタート地点から900mほどの距離に、4時8分の時点では2900mほどの距離に到着している予定となっています。しかし、実際にバスがスタート地点から移動した距離を表した青い点を見ると、全体的に数分程度の遅延が発生していることがわかります。
青い点の動きと連動しているのが、周辺の車の交通状況を表す赤い点です。周辺の車がスムーズに進んでいる場合、つまり赤い点が右肩上がりになっている状態だと青い点も比較的スムーズに進みますが、赤い点が信号待ちのために停止した4時7分から4時9分の間はバスも動きを止めています。このように、バスの運行状況は周辺の交通状況に大きく左右されているとのこと。
また、以下の画像左側はバスが進む速度を色で表したもの。多くの地点ではよりゆっくりとしたスピードを表す赤色が多く見えますが、黒い四角で囲った部分は速いスピードを表す緑色になっています。実はこの黒い四角で囲った部分は画像右側に示されたバス専用レーンが用意されているそうで、バスの速度は専用の道路といった要素からも大きく影響を受けます。
さらにバスの運行状況に大きく影響を与えるのが、地域の人々の生活習慣です。たとえば以下の画像はニュージャージー州を走るバスが、10kmの距離をおよそ何分で走ったかを表すもの。灰色や青で示された平日の走行スピードと、緑色で示された土、日の走行スピードには大きな違いがあるほか、朝や夕方のラッシュアワーにはスピードが遅くなるなど、明確な傾向が見てとれます。しかし、この傾向は全世界で一律というわけではなく、住人の生活スタイルや都市の性質によって変動します。
Googleではこうした要素をAIに学習させ、その日の交通量データから特定のバス路線がどれほど遅延するのかを予測するシステムを開発。Googleマップの新たな機能として、順次公開していく予定としています。
また、Googleは電車などの混雑具合を予測する機能も導入。Googleは何カ月にもわたってGoogleマップの利用者に対し、「多くの席が空いている」「空いている席が少ない」「空席がなく立っている」「空席がない上に混んでいる」という4つの選択肢から、1つを選択してもらう調査を重ねました。このデータに基づいて、特定の時間で特定の交通機関がどれほど混雑するのかについての結果を算出し、Googleマップのルート検索に表示するようにしたとのこと。
Googleはこれらの機能を全世界200の都市で順次公開していくとしており、ウォール・ストリート・ジャーナルによると対象となる200都市のうち4分の1はアメリカに集中している模様。なお、日本では東京も対象になっているようで、バス路線が含まれた移動ルートを検索すると、混雑量が表示される仕組みになっていました。
なお、Googleの公式サイトでは電車内の混み具合表示機能のサンプルとして山手線が使われていましたが、電車内の混み具合について記事作成時点では、Googleマップに表示されていませんでした。
・関連記事
Googleマップに「最短ルートを外れた」ことを通知してタクシーのぼったくりを防ぐ機能が登場 - GIGAZINE
Googleマップ上の店舗情報などは偽情報だらけと報じられる - GIGAZINE
GoogleマップのARナビ機能が実用化に向けてついにテスト開始、カメラで撮影するだけで位置情報を正確に把握可能 - GIGAZINE
Googleマップのデータをゲームに利用できるようにするとGoogleが発表 - GIGAZINE
「フル機能のGPSアプリ」と偽り広告とGoogleマップを表示するだけのアプリがGoogle Playで5000万回以上ダウンロードされている - GIGAZINE
Googleマップが値上げされても「避難先候補」となる代替オンラインマップは豊富に存在している - GIGAZINE
・関連コンテンツ