幼い頃に注意力散漫だったり乱暴だったりした人ほど将来の収入が低くなるという調査結果
by mekong_virus
カナダで行われた大規模調査で、「5~6歳頃に見られる注意力や社会性」と「将来の収入」との間に相関関係が見られたと報告されています。調査によると、注意が散漫だったり乱暴な振る舞いを見せる子どもほど将来の収入が減り、社会性が高い子どもほど収入は増えていたそうです。
Association Between Childhood Behaviors and Adult Employment Earnings in Canada | Pediatrics | JAMA Psychiatry | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2736346
Distracted Kindergartners May Earn Less As Adults
https://www.livescience.com/65752-kindergarten-behaviors-linked-to-salary.html
報告された大規模調査は1985年に、カナダ・ケベック州に住む幼稚園児2850人を対象に行われました。調査対象となった子どもの96%は白人で、5~6歳だったとのこと。カーネギーメロン大学の研究チームは幼稚園教諭による行動評価から、各園児の注意力・攻撃性・反抗性・不安・社会性を評価し、スコア化しました。
そしておよそ30年後となる2013年から2015年に、すっかり大きくなった2850人の知能指数と家庭環境、確定申告などのデータを収集したところ、注意力が散漫だった人とそうでなかった人の間で、大きな収入格差が見られたと研究チームは報告しています。
研究チームによると、男性の平均年収は2万7500ドル(約300万円)で、女性の平均年収は1万5200ドル(約160万円)だったとのこと。そして、子どもの時に測定した不注意スコアが1ポイント増えるごとに、男性の平均年収はおよそ1271ドル(約14万円)、女性の平均年収は924ドル(約10万円)減少することが判明しました。
by Meriwether Lewis Elementary School
また、男性については、ケンカ・いじめ・かみつきなどの身体的攻撃性や反抗・他人への非難・他人への侮辱などの反抗性についての評価スコアも、1ポイント増加するごとに平均年収がおよそ700ドル(約7万6000円)減少するという傾向が見られたそうです。一方、社会性のスコアが1ポイント増加すると、男性の平均年収がおよそ480ドル(約5万3000円)増加したとのこと。
この結果から研究チームは、個人の知能指数や家庭事情とは無関係に、幼稚園児の行動が30年後の収入と関連していると論じています。そして、「注意力が散漫な傾向を示している子どもや高い攻撃性を示している子どもに対して早いうちからサポートと監視を行うことは、個人と社会にとって長期的な利点をもたらす可能性がある」と研究チームは述べました。
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