人類初の月面到達まで1万1000時間分のアポロ11号の映像と音声をリアルタイムで配信するサイトが登場
by NASA
世界協定時の1969年7月16日、3人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船アポロ11号がサターンV型ロケットによって打ち上げられ、同年7月21日に人類は初めて月面に到達しました。2019年で月面到達50周年を迎えることを記念して、リアルタイムでアポロ11号の着陸までののべ1万1000時間分を見届けることができるサイト「Apollo 11 in Real Time」を、NASA・ジョンソン宇宙センターのエンジニアで歴史研究家のベン・ファイスト氏が公開しています。
Apollo 11 in Real-time
https://apolloinrealtime.org/11/
アポロ11号の様子をリアルタイムで見届けたい場合、トップページの「NOW」をクリック。再生される日時のタイイングはボタン右に表示されています。
すると、管制室や宇宙船内の映像や音声が自動再生され、写真も表示されます。記事作成時点では、アポロ11号はホーマン遷移軌道に乗った直後で、音声は流れるもののムービーはありませんでした。ウィンドウ右の中央にある「MISSION CONTROL AUDIO」というボタンを押すと……
管制室や宇宙船内など、30トラック以上の音声を個別に選択して聴くことが可能。例えば「SPACE ENV」を選択すると、宇宙船や気象情報の通信音声に切り替わります。
管制室の音声は右にある図と対応していて、席ごとに聞き分けることが可能。49年11カ月前の歴史的大偉業が進行する様を、インターネットを通じてライブ感覚で見ることができるというわけです。管制室の各部署の役割は以下の通り。
BOOSTER:アポロ11号が打ち上げられてから軌道に乗るまでのサポート。
RETRO:アポロ11号が地球に帰還するまでのサポート。
FIDO:任務全般においてアポロ11号のサポート。
GUIDO:アポロ11号司令船のコンピューターなど、システム面の管理・サポート。
SURGEON:心拍数や呼吸数など、乗組員の健康状態の監視。
CAPCOM:宇宙船の乗組員と直接会話ができ、連絡のやりとりや口頭による指示を行う部署。
EECOM:アポロ11号司令・機械船の電源システムや環境システムの監視。
GNC:アポロ11号機械船の制御など、ハードウェア面での管理・サポート。
TELCOM:月着陸船に搭載されている生命維持装置と電源システムの監視。
CONTROL:月着陸船のハードウェア部分の制御・監視。
INCO:司令船と月着陸船の通信システムの監視。
O&P:アポロ11号や管制室で行われた物事についての手続きと確認。
AFD:フライトディレクター(FLIGHT)の補助。
FLIGHT:アポロ計画における絶対的な権限を持つフライトディレクター。
NETWORK:各地にあるNASAの地上局と通信を行い、データを収集するための部署。
FOD:管制室とジョンソン宇宙センターの連絡役。主にジョンソン宇宙センターの所長が就任していたとのこと。
N DIR:管制室とNASAの連絡役。普段は特に何もすることはありませんでしたが、当時のEECOM担当者は「N DIRにはいつも誰かがいてコンソールを見ていた」と証言しています。
また、画面右の一番右のタブ「Astromaterial Samples」をクリックすると、アポロ11の乗組員が月面で砂を採取する様子をムービーで見ながら、実際に採取された砂の写真やデータを閲覧することができました。
リアルタイムではサターンV型ロケットの打ち上げシーンは既に終わってしまいましたが、トップページから「T-MINUS 1M」をクリックすれば……
改めて打ち上げから見ることが可能。当時の発射台周辺や管制塔の緊張感が音声やムービーからビシビシと伝わるので、気になる人はぜひ自分の目で見てみてください。
なお、「リアルタイムを待てない」という場合、画面上部にあるシークバーから、好きな場面を見ることが可能。一番上のバーが任務全体、真ん中のバーが9時間の幅で、一番の下のバーが20分の幅でシーンを選ぶことができます。例えば、以下のように109時間24分頃にカーソルを合わせることで、アームストロング船長による「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」という名言を聞くことができます。
記録によれば、1969年7月当時の主なタイムスケジュールは以下の通り。時間はミッション開始からの時間・秒です。
・75時間49分50秒:司令・機械船の推進エンジンを点火、月周回軌道に入る。
・100時間40分02秒:月着陸船が司令船から切り離される。
・102時間45分39秒:着陸船が月面に着陸。
・109時間23分28秒:アームストロング船長がついに月面に降り立つ。
・124時間22分00秒:着陸船がエンジンを点火して月を離陸。
・128時間03分00秒:着陸船が司令船コロンビアとドッキング。
・135時間23分42秒:アポロ11号が月周回軌道を離脱する。
・195時間03分05秒:司令船が地球の大気圏に再突入。
・195時間12分07秒:コマンドモジュールのパラシュートが展開される。
・195時間17分35秒:太平洋沖に着水。
ちなみに記事作成時点では、1969年7月16日13時32分00秒(世界標準時)の打ち上げにシークバーを合わせると、サイト内に表示される時間は1969年7月16日23時32分00秒と、およそ10時間の時差がある状態でした
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