任天堂はゲーム業界のトレンド「ストリーミング」について評価中とのこと

by Matteo Grobberio

GoogleやNetflixといった大手IT企業が相次いでゲーム業界に参入し、クラウドサーバー上でゲームに必要な処理を行い、端末に映像をストリーミング配信する「クラウドゲーミング」あるいは「ゲームストリーミング」がにわかに注目を集めています。世界最大のゲーム展示会であるE3ではその傾向がより顕著に表れていたのですが、任天堂はそんな「ストリーミング」をまだ評価している段階であると、海外メディアのTechCrunchが報じています。

Nintendo: we’re ‘evaluating’ streaming | TechCrunch
https://techcrunch.com/2019/06/13/nintendo-were-evaluating-streaming/

Googleがその詳細を発表した独自のクラウドゲームサービス「Stadia」を皮切りに、MicrosoftはXbox Oneからモバイル端末などにゲームをストリーミング配信する方法や、Project xCloudの続報をひっそりと発表。他にも、世界最大級のストリーミング配信サービスであるNetflixが、ゲーム業界への参入を明らかにしており、2019年のE3では明らかに「ストリーミング」が最大のトレンドとなっていました。

任天堂もE3に合わせてNintendo Switchの新作タイトルを発表する「Nintendo Direct | E3 2019」を配信し、世界中のゲームファンを盛り上げてくれたわけですが、業界で注目を集める「ストリーミング」については完全にノータッチでした。

「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」の新ファイターはドラゴンクエストの「勇者」 - GIGAZINE

この任天堂の「我関せず」なスタイルについて、TechCrunchは「これは全く驚くべきことではない」と記しており、任天堂は常に業界のトレンドよりも独自のビジョンを支持し、それにより大きな成功を収めてきたと指摘。もちろんこの戦略が常に成功するわけではありませんが、任天堂はいまだに「最も愛されるプラットフォームとタイトル、そして数々のIPを持ち合わせている」と記しています。

そのTechCrunchがE3の会場で、任天堂のアメリカ法人であるNintendo of Americaでエグゼクティブを務めるCharlie Scibetta氏にインタビューを行いました。その中で、Scibetta氏は「ストリーミングはたしかに興味深い技術です」と語り、任天堂がストリーミングやクラウドゲーミングに強い関心を抱いていることを明らかにしています。

しかし、Scibetta氏は続けて「任天堂はストリーミングという技術に注目し続けており、その評価を行っている段階です。ストリーミング技術の採用について、現時点で発表できるものは何もありません。我々にとってゲームはまだ物理的なものであり、ニンテンドーeショップを通じたデジタルダウンロードなのです」と語り、ストリーミングについてまだ「評価中である」としています。

また、Nintendo of Americaのダグ・バウザー社長も、エンターテインメント系メディアのHollywood Reporterのインタビューの中で、ストリーミングに関するコメントを出しています。Hollywood Reporterからの「近年のゲーム業界のトレンドであるストリーミングについてどう思う？」という質問に対して、バウザー社長は「さまざまな新しい技術がどのようにしてゲームをプレイできるようにするのかに興味を持っています」とだけ語っており、ストリーミング技術に関する任天堂の姿勢は明らかにしていません。

このように、任天堂がStadiaのようなクラウドゲームサービスを展開するとしても、それはまだまだ先のことのように思われます。しかし、既にNintendo Switch向けのクラウドゲーム自体は存在しており、「今後Nintendo Switchでもクラウドゲームが増えていくのでは」という指摘もあったため、任天堂がクラウドおよびストリーミングに対してどのような姿勢を取っていくことになるのか注目が集まるところです。

Nintendo Switch向けのクラウドゲームが今後増えていく可能性 - GIGAZINE