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Firefox 67には次世代コーデック「AV1」の世界最速デコーダーが採用されている

by geralt

Mozillaは、ウェブブラウザ「Firefox 67」から次世代コーデック「AV1」をデフォルトで有効とし、デコーダーとしてdav1dを採用したことを発表しました。Mozillaのシニアリサーチエンジニアであり、AV1の共同開発者でもあるネイサン・エッゲ氏が公式ブログで、FirefoxのAV1対応と搭載しているデコーダーについて解説しています。

Firefox brings you smooth video playback with the world's fastest AV1 decoder - Mozilla Hacks - the Web developer blog
https://hacks.mozilla.org/2019/05/firefox-brings-you-smooth-video-playback-with-the-worlds-fastest-av1-decoder/


AV1はGoogleやNetflixなどが主導して開発されてきたビデオコーデックで、2018年3月に正式リリースされました。従来のVP9HEVCよりも高い圧縮率を誇るAV1が採用されることで、4K60pなどのUHD画質ムービーのストリーミングも普及するといわれています。

GoogleやNetflixが主導するビデオコーデック「AV1」が正式リリース、4Kストリーミングの普及に期待 - GIGAZINE


Firefox 67正式版の、Windows・macOS・Linuxの32ビット版・64ビット版で、AV1のデコードがデフォルトで有効になりました。搭載されているAV1デコーダーは、VLC Playerの開発元であるVideoLAN によって開発されたdav1dです。エッゲ氏によると、dav1dはVP9のデコーダーよりも30%以上、H.264/MPEG-4 AVCのデコーダーよりも50%近く小さいコードサイズに収まるとのこと。

また、dav1dはAlliance for Open Mediaによるデコーダ「libaom」よりも2~5倍高速だったとのこと。エッゲ氏はdav1dを「世界最速のAV1デコーダー」と評価し、「より高いパフォーマンスと効率をみせるdav1dを採用したことで、少ないCPU使用率ながらブラウザ上でスムーズなムービー再生が可能になります」と述べています。さらにエッゲ氏は、Mozillaが非営利団体のXiph.Orgと協力して、「rav1e」という独自のAV1エンコーダーをオープンソースで開発していることを明らかにしました。


Firefox 67 Betaの使用統計データによると、Firefox 67 Beta上で再生されたムービーのうちでAV1コーデックのものだった割合は2019年2月は0.85%、同年3月は3%、そして2019年4月には11.8%となっていて、AV1コーデックの普及がインターネット上で加速していることが示されています。「高性能なハードウェアデコーダーが市場に投入されるであろう2020年頃まで、AV1は新しすぎて採用されないだろう」と予測する専門家もいたそうですが、GoogleやNetflixが開発を主導していることもあり、インターネット上では急速に次世代コーデックへの対応が進んでいるというわけです。


また、MicrosoftのAzure ComputeチームのプログラムマネージャーであるKay Singh氏は自身のブログの中で、2019年5月時点でのAV1を取り囲む状況について報告しています。

AV1 Ecosystem Update: May 2019
https://www.singhkays.com/blog/av1-ecosystem-update-may-2019/


Singh氏によると、Intelがオープンソースで開発するCPUベースのAV1エンコーダー「SVT-AV1」のバージョン0.5.0が2019年5月にリリースされたとのこと。Netflixにも採用されているというSVT-AV1は2019年2月に発表されて以来、GitHubレポジトリへのコミット数が1日あたり80を超えることもあるなど、多くの注目を集めている様子。オープンソースでの開発によって新機能が多く追加されたため、2019年5月末にはさらにパフォーマンスが向上したと報告されています。


また、2019年5月に行われたGoogle I/Oでは、Android 10 QでAV1ムービーがデフォルトでサポートされることが発表されました。2019年5月時点でモバイル端末向けOSにおけるAndroidのシェアは75%と圧倒的多数を占めていて、Androidでのサポートは、Firefoxと共にAV1の普及を後押しするといえます。

さらに、半導体企業のAmphion Semoconductorは、AV1の4K60p(UHD)に対応したハードウェアデコーダーの入手可能性を発表しました。AV1対応のハードウェアデコーダーの登場は2020年頃といわれていましたが、積極的な開発とサポートの充実が進むことで、専門家の予想よりも早く市場へ投入されることも期待できます。

なお、AV1形式のムービーストリーミングがどんな感じなのかは、YouTubeで確認することができます。YouTubeにログインした状態で、YouTubeの開発中のプログラムを試すことができる「TestTube」にアクセスし、ページ下部にある「データ使用量を抑えて動画を満喫」で「常にAV1を使う」を選択します。


AV1形式のムービーは、Firefox 67などAV1に対応したブラウザから以下のプレイリストにアクセスすることで視聴できます

AV1 Beta Launch Playlist - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLyqf6gJt7KuHBmeVzZteZUlNUQAVLwrZS


ムービーの詳細統計情報を確認すると、確かにコーデックがAV1と表示されていました。

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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