チョコレートの評価は「味」以外でも左右されることが判明
by Food Photographe
チョコレートを食べる時に重要なのはもちろん「味」ですが、実際には「舌で味をどう感じるか」はパッケージの影響を受けることが研究で判明しました。風味・香り・質感といった感覚的な事柄と、パッケージ素材・ブランドといった外的要因を消費者がどう受け取るかは異なる問題ですが、味とパッケージが合致していないと、最終的な味の評価も下がるそうです。
Effects of packaging design on sensory liking and willingness to purchase: A study using novel chocolate packaging | Heliyon
https://www.heliyon.com/article/e01696
Scientists May Have Found Why We Love Fancy Chocolate So Much, And It's Not The Taste
https://www.sciencealert.com/that-fancy-chocolate-you-like-might-only-taste-so-good-because-of-the-packaging
オーストラリアにあるメルボルン大学の研究チームは25~55歳の75人のボランティアに対し「パッケージなしでチョコレートを試食してもらう」「試食なしでチョコレートのパッケージを見てもらう」「パッケージを見ながら試食してもらう」という3つの方法でチョコレートの味を評価してもらい、人の知覚が外的要因の影響をどのように受けるのかをテストしました。
実験で試食してもらうチョコレートは全て同じものでしたが、パッケージに差があり、「力強い」「楽しい」「日常的」「特別」「健康的」「プレミアム」といった異なるコンセプトが用いられていました。そして試食後、被験者は「どのような味だったか」「どのような気分になったか」「今後そのチョコレートを購入する気になったか」などを尋ねられたとのこと。
by Merve Aydın
この結果、被験者はパッケージとチョコレートの味が合致していない時にチョコレートの味を低く評価することが判明。言い換えると、パッケージによる「味の予想」が実際のチョコレートの味とマッチしていた時にチョコレートの味を好む傾向にありました。
また被験者が試食後に感情をベースにした言葉を選ぶように指示されたところ、何も見ずに試食した時よりも、パッケージを見て試食した時の方が強い感情の言葉を選んだそうです。さらに、「幸せ」「健康」「楽しい」「明るい」といったポジティブな言葉が使われたパッケージを見て試食した場合、「パッケージを好むこと」と「チョコレートを好むこと」の間にポジティブな関係が生まれることがわかりました。
パッケージによって促されたポジティブな感情は最終的に「チョコレートに対する許容性」に直接影響すると研究者は示しています。
これまでの研究で「感情」と「パッケージ」が食べ物の選択を決めるということは示されてきました。今回の研究で「今後そのチョコレートを買うかどうか」に最も大きな影響を及ぼすのは「チョコレートの味」であることが示されましたが、それでも「商品がどう見えるか」ということが大きな要素であることには違いありません。研究を行った一人であるSigfredo Fuentes氏は「消費者の最初の決断の約60%は、お店で、パッケージによって判断されます」と述べました。
by Cenk Batuhan Özaltun
「結論として、私たちの発見はプロダクトデザインや、商品に対する感情的な愛着を増加させる内在的・外在的な特徴の開発にとって非常に重要です」とFuentes氏は語っています。
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