「機械学習による地図」をFacebookが開発、流行病の対策にも役立てられる
災害やパンデミックが発生したとき、援助をどこに提供すべきかを正確かつ迅速に知るためには、詳細なマッピングツールが必要です。しかしながら、信頼性が高く正確な地図には簡単にアクセスできません。Facebookがコロンビア大学国際地球科学情報ネットワークセンター(CIESIN)と共同で開発したマップには人工知能(AI)の技術が用いられており、人口データや衛星画像に機械学習を適用して複雑な構造がマッピングされているほか、人口分布を詳細に計算できるためさまざまな活用が展望されています。
Mapping the world to help aid workers, with weakly-, semi-supervised learning
https://ai.facebook.com/blog/mapping-the-world-to-help-aid-workers-with-weakly-semi-supervised-learning
How AI-powered maps help improve vaccination campaigns and rural electrification
https://tech.fb.com/ai-powered-maps-help-vaccination-campaigns/
Facebookのプロジェクトではまずアフリカの22カ国について、複数の地図や衛星画像に基づいてマッピングを行っており、最終的に同プロジェクトはほぼ全世界の人口をマッピングする見通しとのこと。
地域がどのような構造をしているか、どのような人口分布になっているかを正確に確認できるマップを用いることで、災害時の避難を的確に行えるほか、医療従事者が迅速かつ適切に災害に巻き込まれた人や流行病にかかった人にコンタクトができます。
実際にアフリカ南東のマラウイでは、赤十字と共同し、このマップを活用したはしかと風疹の予防接種キャンペーンが行われました。土地面積の97%が無人であることをマップが示したおかげで、ボランティアを必要としている地域にスムーズに配置できたそうです。
また3人に1人が電気を利用できないといわれるタンザニアでは、FacebookのAI地図によって「どの地域にエネルギーリソースを割けばいいか」を確認できたことにより、電気工事計画を助けたとのこと。
Facebookの公共政策責任者であるLaura McGorman氏は、「マラリア対策に取り組むことからキャリアをスタートさせたため、正確なデータが人道的活動に果たす重要な役割を直接目にすることができました」と述べ、マッピングプロジェクトがNGOや救援団体とのパートナーシップを構築できることを確信していると語りました。
国が行う国勢調査は、特定の区域に住んでいる人口を示してはいるものの、その区域のどこに人が住んでいるかを示すものではありません。そのため、予防接種キャンペーンなどの取り組のリソースを効率的に割り当てるには、より詳細なマッピングが不可欠です。
このAIを用いたマップでは、衛星画像が読み込まれるとそこに建物を含むかどうかが予測されます。その後、国勢調査データなどを参照して地域面積あたりの人口から、ある建物にどれくらい人がいるか、あるエリアにどれくらいの人口があるかを計算します。画像はFacebookが紹介しているサンプルで、アフリカ全体から建物を含む場所がランク付けされ、上位の場所は青い点で示されています。画像をクリックすると機械学習により人口分布が絞り込まれていく様子をGIFアニメで確認できます。
研究データはFacebookから現地の救援者に無料で提供されており、そのフィードバックをさらなる研究に役立てているとのことですが、Facebookはこれについて「Facebookデータが使われていないのはもちろん、使用される国勢調査および衛星データには個人を特定できる情報は含まれていません」と念押ししています。
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