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超美麗4Kムービーで見る宇宙が終わるまでの物語


眠れない夜に遠い未来に思いをはせたことがある人は多いはず。地球に豊かな光をそそぎエネルギーをもたらす太陽もいずれは消滅し、やがて宇宙はブラックホールで満たされます。ですが、それさえも「ほんの産声を上げたようなもの」と形容されるような、気が遠くなるほど遠く長い宇宙の物語をはやまわしで見ることができる超美麗ムービーが公開されています。

TIMELAPSE OF THE FUTURE: A Journey to the End of Time (4K) - YouTube


旅の始まりは2020年です。


火星コロニーと思われる建築物など、遠い未来にも思えるビジョンが瞬時に過ぎ去りながら時の流れが加速していきます。


3000年ごろには地磁気が反転。


4000年ごろにはヘール・ボップ彗星(すいせい)が再び地球付近を訪れます。


5000年ごろには大規模な水位の上昇が人類の痕跡を洗い流します。ですが、これから起こる宇宙の終わりからすればこれもまだほんの始まりにすぎません。


1万1000年ごろにはアンタレス超新星爆発を起こし、夜空に輝きます。


3万2000年もすると、我々が知っている星座の姿は変わり始めます。


地球から最も遠く離れた人工物となったボイジャー1号ですが、最も近い星に到達するためには約4万年もかかります。


やがて人類が月に残した足跡もちりに覆われて見えなくなります。


1000万年以上経過すると、太陽系の惑星にも異変が起き始めます。火星の衛星がリングを形成し……


一方で、土星の輪は消滅し……


そして、寿命を迎えつつある太陽は一層輝きを増しはじめます。


その影響で、地球上では植物が死滅し……


海は干上がって、あらゆる生命が死に絶える灼熱(しゃくねつ)の地獄と化すでしょう。


死にゆく太陽は赤色巨星となり、膨張しながら地球や太陽系の惑星を飲み込んでいきます。


核融合反応が収束するとともに、太陽は深宇宙に浮かぶ冷たい白色矮星(わいせい)となります。


太陽以外の星々もやがて同じ運命をたどり、ひとつ、またひとつと消えていくことに。


星が死んでく中、やがて新しい星も生まれなくなります。宇宙は劇的なドラマのように幕を下ろすのではなく、ひっそりと死んでいくのです。


100兆年後には最後の赤色矮星の火が消え、宇宙の衰退期が始まります。


私たちの太陽は、死んだ恒星としては比較的温度と密度が高い白色矮星になると見られていますが、それでもかつての地球から見ればよく晴れた夜空に見える満月ほどの明るさしかありません。


白色矮星のおぼろげな光だけが宇宙の輝きになります。


もし冷え切った宇宙に生き残った生命がいたら白色矮星のそばに避難し、暖を取ることでしょう。


その宇宙文明がリングワールドを作って白色矮星のわずかなエネルギーをたよりに命をつないだとしても、永遠には続きません。


白色矮星はやがて光や熱を放出しない黒色矮星になります。


恒星がこの状態になるにはとてつもなく長い時間が必要になるため、黒色矮星は現在の宇宙には存在しないと考えられています。


銀河の中心に座していた超巨大ブラックホールはあらゆる物体を飲み込みます。


ブラックホールに飲み込まれる物質の渦だけが、宇宙の知的生命体に残された最後のエネルギー源です。


宇宙は光速を超えて膨張していくため、やがてあらゆる光は観測できなくなります。


いずれ原子自体も崩壊しすべての物質が破壊されると考えられています。


黒色矮星すら消え去った後にはもはや通常の物質は存在せず、光とブラックホールだけが残ります。長きにわたるブラックホール時代の幕開けです。


ブラックホール時代はあまりにも長いため、これまでの宇宙が重ねていた年月を人間の一生に例えるなら、今まさに産声を上げたようなものです。


巨大ブラックホールの周りを小さなブラックホールが回る「ゾンビ銀河」はお互いを吸収しながら成長を続けます。


そして、ぶつかり合うブラックホールの衝撃が宇宙空間をドラムのように打ち鳴らし、重力波が空間と時間のゆらぎとなって宇宙に響き渡ります。


「ブラックホールの表面では、正のエネルギー粒子と負のエネルギー粒子が絶えず分裂と衝突を繰り返していますが、片方がブラックホールに飲み込まれて消えてしまうことがあります」と語る合成音声はホーキング博士のもの。ホーキング博士が提唱したこの現象は「ホーキング放射」と呼ばれます。


ブラックホールが負の質量を飲み込むとブラックホールの質量は減少します。このため、ブラックホールはやがて蒸発して消えてしまいます。


ブラックホールが消滅し、物質も粒子も放射線も消え果てた真空にもエネルギーはあります。未だ正体が分からないこのエネルギーは「ダークエネルギー」と呼ばれています。


宇宙が膨張し続けても、ダークエネルギーが薄まることはありません。そればかりか、宇宙の膨張は無限に加速しつづけます。


ダークエネルギーは未知の存在で、ダークエネルギーがもたらす宇宙の終わりは未だ予測がつきません。ある時点で膨張から収縮に転じてある一点に収束し崩壊する「ビッグクランチ」が起きるとも、あるいは膨張し続けて宇宙の構造そのものが引き裂かれて崩壊する「ビッグリップ」が起きるともいわれています。


宇宙の終わりに関して、ある興味深い仮説があります。それは、知的生命体が一点に途方もないエネルギーを集中させて宇宙に穴を開け、新たな宇宙への扉を作り出し、自らの宇宙が死ぬ前に避難するのではないかというものです。


多元宇宙同士で生存競争が繰り広げられるかもしれません。


もし宇宙を脱するすべがないとすれば、死にゆく宇宙と運命をともにすることになります。ブラックホールでさえも蒸発し、絶対零度になった宇宙では、ついにエントロピーが増大しなくなります。なぜなら、それ以上無秩序になりようがないからです。こうして宇宙の物語は真の終わりを迎えるのです。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1l_ks

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