世界の座標を3単語で表す「What3Words」は公共の利用には向いていない

「What3Words」は、地球の表面を3メートル四方のグリッド57兆個に区切り、それぞれのグリッドに3つの英単語からなる固有の「3ワードアドレス」を割り振ることで英単語3つで世界中のあらゆる場所を指定できるというシステムです。What3Wordsの仕組みはモンゴルなどで実際に利用されていますが、公共でのWhat3Wordsの利用にはいくつかの問題点があると指摘されています。
Why bother with What Three Words? – Terence Eden’s Blog
https://shkspr.mobi/blog/2019/03/why-bother-with-what-three-words/
◆システムがオープンではない
What3Wordsでは世界中のさまざまな地点を英単語3つで表しますが、「どのようにして単語が選定されるのか」というアルゴリズムは秘匿されています。すなわち、ある地点がWhat3Wordsでどう表されるのかを知りたい場合には、What3Wordsの利用規約とプライバシーポリシー、API利用規約に同意する必要があり、さらに特許を侵害していないかどうか確かめておかなくてはいけません。
また、場所を保存することはできず、どの地点を調べたのかという情報をWhat3Wordsに渡すことになります。さらに1万件以上の地点を調べる場合には有料対応となるなど、What3Wordsのシステムはクローズドなものとなっています。

◆費用が不明
What3Wordsの利用価格表は公表されておらず、利用する場合にはまずセールスチームに連絡して価格を聞く必要があります。What3Wordsのこうした点は公共で広く利用するには向いていません。
◆地点名が日々変動する
地球はプレートに覆われており、毎日わずかに位置が変化しています。こうした変化によって番地や住所が変わることはありませんが、What3Wordsのグリッドは静的なものであるため日々変化してしまいます。
日々地面が移動しているほか、大きな地震が発生した場合には一気に何メートルも移動する例が知られており、What3Wordsを利用する場合には常に新しいデータに注目する必要があります。
◆国際的な利用は難しい
緯度や経度は世界中で一般的に利用されている数字を使って表されるため、さまざまな国で同じものを利用できます。What3Wordsを利用した場合には、別の言語でどう表されるかを知りたければWhat3Wordsに尋ねるほかありません。さらに、日本語で「おんせん・わいふぁい・ちまき」で表される地点を英語で表すと「drill.explores.clashes」となるように、言語ごとにまったく別の言葉で表されてしまうという問題があります。さらに利用者はWhat3Wordsがどのような単語リストを使用しているのか知ることはできず、変更を提案することもできません。
◆意図せぬ単語の結合
数字の組みあわせが問題を起こすことはほとんどありませんが、言葉ではそうはいかず、意図しない組みあわせが炎上の火種となってしまう可能性が存在します。
こうした批判を展開しているのはイギリス保健省でテクニカルアドバイザーを務めるテレンス・エデンさんですが、エデンさんは批判を行ったブログのコメント欄にて「What3Wordsが利益を得るべきだという考えには同意しますが、What3Wordsは自らの業務が独占的なものであることを自覚するべきで、世界中で一般的に利用されるグローバルスタンダードの地位を目指しに行くべきものではないと考えています」と主張をまとめています。
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You can read the machine translated English article 'What 3 Words', which represents world c….